~過去物語~「ギルド立志篇」

~過去物語~「ギルド立志篇」




第一話「始まり。。」






由紀
「ねぇ、優太。お昼は何が食べたい?」

優太
「何でもいい。」

由紀
「じゃあじゃあ!お夕飯は何が食べたい?」

優太
「何でもいい。」

由紀
「じゃあじゃあじゃあ!!明日の朝ご飯は何が食べたい?」

優太
「知るかそんなこと!!!今夜の食いたい物ならいざ知らず、誰が明日の朝飯を今から考えられるかよ!!!」

由紀
「え、優太は私が食べたいって?キャーー!!それはちょっと大胆すぎるんじゃないでしょうか!!でもでも!優太がどうしても食べたいって言うなら今夜辺りにでも・・・」

優太
「言って無ぇよ!!!確かに色んな意味で食べたい気もするけど今は良いです!」

由紀
「あ、一応食べたいんだ。」

優太
「まあな。」

由紀
「て言うか何で普通に始まってるの?今回から『過去物語』って言う新シリーズ始まるんじゃなかったの?」

優太
「さあ・・・オレも何が何だか・・・。」

由紀
「じゃあ回想的な感じで適当に始めちゃおうか。」

優太
「え、そんな唐突な・・・」

由紀
「えっと今回は『ギルド立志篇』?ああ、もしかしなくてもあの時のことかな・・・えっと確かあの時は・・・」









千草
「お金が無いんだけど・・・。」

優太
「んなこと言われてもオレが知るか。」

千草
「なーーんかパッとできてサッと楽に稼げる方法とか無いかなーーー??」

優太
「無いんじゃね?それこそ地道にバイトとかした方が良いと思う。」

千草
「それが嫌だから聞いてるんじゃーーん!」

優太
「いやいや・・・バイトが嫌じゃあ稼ぐのは絶望的だと思いますが・・・」

千草
「だってバイトだと自分の好きなように時間使えなくなりそうなんだもん。いくらお金がもらえても時間を削るんじゃあ意味無いんだよ!!」

優太
「うーーーーん。と、言いましても・・・」


「時間をかけたくないなら『ギルド』で依頼を請けると言うのはどうですか?」

千草
「『ギルド』?」


「『魔法界』の機関の一つです。主に魔獣討伐、物資搬送、要人護衛、秘境探索・・・その仕事内容は多岐に渡り、報酬もそれなりにいいらしいですよ。」

優太
「へぇー、そんなげ~むみたいなのがホントにあるんだ。」


「まあ、『ギルド』はそのシェアの広さから民間人にとても気に入られています。なので民間の人達からの依頼も多いのでそういうのをチョイスすれば楽にササっと稼げるかもしれませんね。」

千草
「基本報酬はどれくらいなの?」


「んーーーー、物によりますが・・・基本は一仕事につき二、三万は固いかと。」

千草
「マジで!!?やる!!私『ギルド』やるよ!!!」

優太
「そ、好きにすれば・・・。オレはこのげ~むを今日中にクリアしなくちゃならないから・・・」


「ちなみに『ギルド』に加盟するには最低五人以上の初期メンバーが必要ですよ?」

千草
「五人?ユウ君、鳳仙、私・・・ユッキーにレンチー、ユイチーに愛依ちゃん、奏っちゃん・・・楽勝じゃね!?」

優太
「何でサラッと全員参加させられてるんだよ・・・」

千草
「私達、『家族』じゃん?」

優太
「今この瞬間だけその絆を断ち切りたい・・・」

千草
「よし善は急げだ!!みんなを誘って早速『魔法界』行こうぜ!!!」

優太
「おいおい、そんなみんなしてホイホイ付いてくるわけないだろ・・・」







由紀
「『魔法界』かーーー。久しぶりだなーー。」


「私生まれて始めてだよーーー。楽しみだな~~。」

由紀
「そうなの?じゃあ王都くらいなら行き慣れてるから案内してあげる。」


「ホント?ワーーイ!」

愛依
「・・・」


「愛依?どうしたんだ?」

愛依
「え?」


「いや、元気ないな~って。」

愛依
「そ、そんなことないよ!私は元気だよ?」


「・・・そうか?なら、いいんだけどさ。」

千草
「とりあえず一緒に軽そうな魔獣討伐しようぜ!」

鳳仙
「お、いいね!最近は全くと言っていいほどそういうの無かったから楽しみだぜ!!」

優太
「何でみんな乗り気なの?」


「そこはツッコんだら負けだと思います。」

優太
「いやいや、だってオカシイでしょ?イキナリ回想に入ったと思ったら千草の思いつき発言で『魔法界』に行くことになるって・・・順序を何工程省いたらこうなるんだよ。」


「いえ、何も省いてませんよ。限りなく原作どうりです。」

優太
「ここは加筆しよう!!?何でこの一話の一番大事な動機部分をアッサリめに済ませようとしてるんだよ!!!」

千草
「いや、メンドクサクなくていいことでしょ~~。。」

優太
「くっ!!つまりツッコミ=負け、と・・・そういう話か。じゃあいいよ!このまま進んでやろうじゃねぇか!!で、『魔法界』にはどうやって行くんだ!」

千草
「『魔法界』はこの『外界』とは別の時空間に存在してるって設定なんだけど・・・」

優太
「はいそこーーー『設定』とかそういうメタネタ的な物禁止でーーー。」

千草
「まあそんな訳で通常の方法で向こうに行くのは不可能ってこと。」

優太
「はぁ?じゃあどうやって行くんだよ。」

千草
「いや、ちょっちょっとユッキーに次元の穴を開けてもらって・・・」


「犯罪なので止めてください。」

千草
「えーーー!?だってそれ以外に行く方法と言ったら定期便か『ゲートキーパー』を使うしか無くなっちゃうよーーー。」

優太
「定期便?そんなんあるならそれで行けば・・・」

千草
「あれは日に二回しか来なくて、しかも来るのは朝と晩だけなの!!今すぐ行きたいんだからこっちは!そんなに待てないよ!!」

優太
「じゃあ、もう一つの・・・『ゲートキーパー』?ってのは?」

千草
「あれは無理。私みたいな一般階級の人間が持てるような代物じゃあ・・・」


「『ゲートキーパー』なら持ってますが。」

千草
「あんのかよ!!!先に言って!」


「いえ、面白かったのでしばらくは黙って成り行きを見守ろうかと思いまして。」

千草
「良い性格してるねレンチー!!そこに痺れて憧れちゃうよ!!でも、何で持ってるの?これって持つだけでかなり厳しい審査を受けるうえに最終的に莫大な金額が必要になるって話だけど・・・」


「知り合いに管理局の人が居まして・・・その方から頂きました。」

千草
「へぇーーー。」

優太
「とりあえずイケるんだろ?じゃあ早速行こうぜ。」


「ええ。では、私の周りに集まってもらえますか?」



その言葉を合図にみな蓮の周りに集まる。
蓮は慣れた手つきで球状の物体を操作していく。
蓮はふと顔を上げて、



「場所は・・・王都でよろしいですか?」

千草
「うん!あそこなら本部があるし・・・観光をするにも持って来いだからね。」


「分かりました。では・・・」



蓮が2、3キーを入力すると空間が歪む。
その歪みは次第に大きなものになっていく、そしてそれが終わった時、






優太の視界に見たことの無い街並みが広がっていた。
さっきまで自分の家の庭に居たはずだった。
が、今はまるで知らない場所に立っている。
目の前に噴水が見える。
その周りでは小さな子供たちが駆け回っていた。
近くのベンチではその親同士が世間話をしているようだ。
どうやらここは王都と言う所の公園のような所らしい。


優太
「しっかしイキナリだったからびっくりだぜ。なあ、みんな?」



反応が返ってこない。
と言うか今になって気付いたが自分の周囲にまるで誰も居ないことに気付く。
周囲を見回すもそれらしい人影もない。
視界に入るのは自分を指差しながら「あの兄ちゃん一人でなに言ってんのー?」とか言ってる少年と「コラ!指差しちゃダメでしょ!ああいう人には近付いちゃダメよ。」と言い聞かしている親子の姿だけだった。


優太
「これはもしかしてもしかしなくても・・・迷子って奴ですか?」



と、小声でつぶやきつつ天を仰ぐ。
知らない街で、迷子になりました。






千草
「で、何でユウ君だけ居ないの?」


「分かりません。特にコレと言って特別な操作はしていませんが・・・」

由紀
「・・・。」

愛依
「どうしましょう。探した方がいいんじゃ・・・」


「別に大丈夫じゃないかーー?アイツのことだからその内ひょっこり顔を出すと思う。」

鳳仙
「うーーーん。それは言えてるかも。とりあえず思い思いのことをしつつダンナを探すって言うのはどうかな?」


「んーーー、じゃあそうしようか。由紀ちゃんと買い物がてらユウちゃんを探してる~~。」

由紀
「そうね。適当に買い物でもしながら探してみましょう。」


「その買い物、私も付き合います。」


「愛依、一緒に散歩でもしないか?」

愛依
「あ、うん。いいよ。」


「あ、でも買い物とかそういうのがしたいなら無理にとは言わないけど・・・」

愛依
「ううん。私はカナちゃんと一緒が良いから。」


「愛依・・・。うん、ありがと。」

千草
「私達はギルド本部に行って手続きでもしようか。」

鳳仙
「ああ。それが終わったら魔獣狩りな!」

由紀
「あ、そうだ。今日は家に帰る?それとも泊まる?泊まるなら宿を探さないと・・・」


「宿なら私と愛依が適当に探しておく。散歩のついでに・・・」


「いいんですか?」

愛依
「まあ適当に街を見て回るだけですから、それくらいは任せてください。」

千草
「うっし、じゃあ二人にお任せしちゃおうかな!あんまり高い所は勘弁なんだぜ!」


「分かってるよ。手ごろな所を探しとく。」







優太
「さって・・・どうすっかなーーー。ギルド本部って所に行くべきか・・・それとも合流した方がいいのか・・・」



とりあえずさっきの公園から出て人の流れに乗るようにして歩きながら考えていた。
さっきから周りに露店が多くなってきている。
もしかしなくても街の中心に向かって歩いているのかもしれない。
街の中心には大きな城が建っているのが見える。
ここはいわゆる所の城下町と言う奴なのか。
よく見ると並べられている商品には色々な物があった。
地元の者ならコレが土地の物なのかどうかと言うのも分かるのだろうが、生憎優太にそういうのを見る眼は無い。
そういえばお金って共通なのだろうか、もし円が使えないなら少しは換金しないとならない。
それすら分からないのだから困ったものだ。


優太
「やっぱ誰かと合流しないとキツイな。と言ってもやっぱり携帯は繋がらないし・・・。どうしたものかなーーーー・・・ギルド本部ってところがどこだか分かればまだマシなんだが。」

男A
「ねぇねぇ、お嬢ちゃん達可愛いね~~オレ達とお茶しない?」

???
「い、いえ・・・私達急いでますので・・・」

男B
「そんなこと言わずにさぁ~~、その服珍しいねぇ~。東洋の服だったかな?」

???
「あ、分かります?そうなんですよ~~。」

???
「かすみ!そんな奴らにイチイチ反応返さなくてもいいから・・・あの、私達本当に急いでいるので・・・」

男A
「ああん!??オレ達がモブ男だからって舐めんじゃねぇぞゴルァァァアアアアアア!!!!!」

???
「え・・・いえ、そこまでは言ってないんですけど・・・。」



声のする方に顔を向ける。
そこには男二人に言い寄られている二人の女の子が居た。
女の子達はいわゆる所の着物を着ていた。
着物は本格的な物では無く、上下が分かれている二部式着物という奴だった。
最近見たアニメのキャラもあんな感じの着物を着ていたので知っていた。
女の子は姉妹なのか、と言うか双子らしい。
見た感じどっちがどっちだか分からない。
間近で双子を見たのは初めてだったのでちょっと感動した。


優太
「(えーーーっと・・・これはアレかな?助けるとフラグが立つと言う例の・・・)」

男A
「へへへ、なぁ~に・・・ちょっとそこで休憩して行こうって言ってるだけじゃんか。」

かすみ
「そこ?って・・・アレって・・・」



視線の先にあるのはホテルのような場所だった。
ご休憩一時間五百円とか書いた看板が立っている。
端的に言うと、『ラブホテル』という奴ではないだろうか・・・
てか『魔法界』のラブホ安いなーーーとか優太が考えていると、


男B
「大丈夫大丈夫、オレ達が優しくしてあげっからさーーー!」

???
「だから止めてくださいってば!!」

かすみ
「お、おねえちゃん・・・あんまり相手に食って掛かるのもどうかと思うんだけど・・・」

???
「アンタねぇ・・・ここで黙ってたら相手の思う壺よ。さっさと行くわよ!」

男A
「おっと待ちな。まだオレの話は終わって無いぜ・・・。」



男の片方が姉と思われる女の子の腕を掴む。
女の子は必死に振りほどこうとするが男はその手を離そうとしなかった。
周囲を見回しても誰も割って入ろうとしない。
誰も彼も見て見ぬ振りをしている。
優太は溜息一つつき、道端に落ちていた石を拾う。


優太
「(あんまり騒ぎを大きくしたくないな。できるだけ穏便に済ませよう。)」



その石を男の手目掛けて弾く。
多少の魔力を込め、速度と威力を上乗せされた石が男の手を打つ。


ビシッ!!!


男A
「痛っ!!!」

男B
「大丈夫か?って、血が出てるじゃねぇかよ!おい誰だやったの!!!」



男達は石の飛んできた先を追う。
すると自然と優太に視線が向く。
男達は確認もせず、優太に向かって近寄ってくるとイキナリ胸倉をつかんでくる。


男A
「テメェか?どうしてくれんだよ・・・右手がイカレちまってんぞ?」

優太
「そのイカれた右手でよく人を持ち上げられるな・・・。」

男B
「口のきき方には気をつけろよ・・・ガキが!」



優太は男達には目もくれずその後ろで固まっている少女達に目で合図する。
伝わるか分からないが顔を横に振るようにして「今のうちに逃げろ」と伝える。
かすみと言われていた少女は依然として固まったままだったが、もう片方の姉の方はスグに察したようだ。
妹に声をかけ、その場を二人で走り去っていった。
男達はまるで気付いていないようだ。
優太は視線を戻し、男を睨みつける。
スグに攻撃的な視線が返ってきたが気にしなかった。


男A
「どうやらちょっとお灸をすえる必要があるみたいだな・・・」

優太
「お灸?オレ暑いの嫌いなんだけど。」

男B
「口の聞き方も教えてやらないとなぁ・・・。」

優太
「いや、いいよ。お前らみたいなボキャブラリーの低い奴に教わることなんて無ぇよ。オレ、現国の成績8だし・・・。」

男A
「あーそうですか、そういうことなら遠慮はしねぇよ!!!」



男は拳を握りしめる。
そして優太目掛けてその拳を放つ。
その拳を目で追いながら優太は一言だけ言い放つ。


優太
「とりあえずこれで正当防衛が成り立つな。」



ドガッ!!


そんな乾いた音が人通りの多い道の真ん中に響く。
その音は連続的に響き、最後には・・・








第二話「『ギルド』加盟。。」






王都はその広大さから基本的に東西南北の四つの区画で仕切られている。
北には基本的に位の高い官僚や貴族の街。
西が一般の住民が住む街。
東が『ギルド』の本部があるギルド街。
南には冒険者や旅行者が泊まるための宿場街がある。
その四区画の中心に高さおよそ600mはありそうな巨大な城が建っている。
また、王都と言うこともあり旅の行商人達がよく訪れては中央街を中心に東西南北問わずに露店を出している。
基本的に審査を通った者以外の路上販売は治安の問題上許可されていないが、この審査自体がそこまで厳しいものでは無く、届けさえ出せば自由に路上販売をすることを許されている。
そのお陰か、色んな地方からの行商人が集まるためいつでも街には世界中の物が揃うと言う訳だ。
この審査自体が甘いのも治安維持のための機関が確立しているからと言うのが理由の一つだ。
まずは王国直属の『騎士団』の存在。
そしてもう一つは私設武装戦団『ギルド』の存在だ。
『ギルド』は基本的に民間からの要望を叶えるいわゆる何でも屋のような存在だ。
そのシェアの広さから民間人から絶大な支持を集めている。
その本部がある王都で下手なことを起こそうと言う人間もまずは居ない。
が、最近では女性を狙った人攫いのような事件が横行していると言う噂が流れている。
悪魔で噂に過ぎないが・・・




ここは南街の一角。
一つの宿から二人の少女が出てきた。
一方は高校生ぐらいの温和そうな少女だ。
もう一方は見方によってはかなり幼そうに見える。
幼そうな少女は難しそうな顔でポツンとつぶやいた。



「宿、空いてないな。」

愛依
「うん。調度土日って言うのがタイミング的に良くなかったのかな。どこも予約だったりで満杯だもんね。」



これで五件目だ。
まだ腐るほど宿場はあるが、この調子だとどこも満部屋ではないのかと思えてくる。
そう考えていると何故かお腹が空腹を訴えてくる。
ふと奏はポケットから携帯を取り出して時間を確認する。
どうやらもう正午を過ぎているようだ。
宿を探すのにも飽きかけていた所なので調度良いな。と奏は思う。



「うーーーん、探すのは一旦置いといて・・・ご飯食べないか、愛依?」

愛依
「お昼?あーー、調度そんな時間だね。いいよ、じゃあ適当なお店に入って・・・」


「あ、いや・・・行きつけの店があるんだ。愛依さえよければそこで食べないか?」

愛依
「カナちゃんの行きつけのお店?うん!私はどんな所でもいいよ。」


「そっか分かった。じゃあ、こっちなんだけど・・・」

愛依
「うん。楽しみだな~、カナちゃんオススメのお店。」



そう言って路地裏に入る。
日の当たらない路地裏は季節を無視して肌寒く感じる。
愛依も初めてなのか珍しそうに周りを見ている。
奏にとっては見慣れた風景だ。
数か月前まではここに居たからだ。
色々な事情があって『外界』に逃げたのだが・・・
そんなことを考えていると目的の店が見えてくる。
奏は店を指差して愛依に話しかける。



「見えたぞ。愛依、アレだ。」

愛依
「わぁ、何か周りに比べて明るい店だね。」


「ああ。一つだけ浮いてるよな。もっと周りに合わせろよって何時も言ってるんだけどさ・・・」

愛依
「馴染って言ってたけど・・・常連さんなんだ。」


「うん、路地裏で唯一まともな物出してくれる店だしな。」

愛依
「そ、そうなの?」


「私はちょっと前まで表では有名な奴だったからな。表の店で食事なんてしてたら『騎士団』連中にしょっ引かれる。だが、路地裏なら別だ。こんな辺鄙な所には、ほとんど『ギルド』の奴ら以外来やしない。『ギルド』の連中には何もやましいことも無かったし気楽に過ごすならコッチが良かった。」

愛依
「へ、へぇ~~・・・。」


「あ、ごめん。今は別にそういうのは無いからさ。」

愛依
「そうなんだ。良かったね!何があったのか知らないけど・・・カナちゃんは私の友達だもん。友達が掴まる所なんて見たくないもんね。」


「ん・・・そうか。友達、か。うん。」

愛依
「カナちゃん?」


「いや。と言うよりも愛依、私はこれでも『真祖』だ。そう簡単に掴まるほど馬鹿でもないよ。」

愛依
「それもそうだね。心配する必要無かったね・・・」


「その気持ちは嬉しいよ。じゃ、入ろうか?」

愛依
「うん。どんなお店なんだろう・・・楽しみだな~~。」


「ふふっ・・・きっと期待に添えるような持て成しをしてくれると思うよ。」








「じゃあ、この書類にサインを。」

千草
「え~っと・・・ユウ君の名前で出しちゃって大丈夫かな?」

鳳仙
「うーーーん。大丈夫だとは思うけど・・・後で絶対何か言われるよね。」

千草
「んーーーー、いいや。書いちゃえ。福島・・・優太っと。」


「はい。これで受付完了です。っと・・・戦団名が決まってませんが?」

千草
「あー、それは未定で。」


「はぁ・・・まあ問題ありませんけど、できるだけ早めに決めてくださいね。」

鳳仙
「よっしゃ!じゃあ軽く魔獣狩りに行ってみますか!」


「戦団ランクがまだ低いので、できる魔獣討伐依頼はこれしかありませんが・・・。」

千草
「ああ、どれも雑魚ばっかだね。ねー、依頼って何個まで同時に請けていいの?」


「決まりはありませんが・・・始めの内は一個づつ丁寧に仕事をした方が良いと思いますよ?」

鳳仙
「このランクの魔獣なら行ったり来たりするのも面倒だし、一気に請けちゃうか。」

千草
「そだねーー。その方がお金になるし・・・ナルっちゃん!この依頼全部!!」


「べっ!!?マジですか?」

鳳仙
「大丈夫大丈夫!こんくらい楽勝だから!」


「は、はぁ・・・ま、まあ決まりもありませんしいいですけど・・・くれぐれも途中で投げ出したりしないでくださいよ?紹介した私にも連帯責任で減給なり食らったりするかも知れませんので・・・!」

千草
「お、そなの?じゃあなおのこと張り切らないとね!!鳳仙、街で軽く準備してから行こうぜーー。」

鳳仙
「おぅ!腕が鳴るぜ!!」








「この棚の本を端から端までください。」

店員A
「えぇーーーーーー!!?お、お客さん・・・お金はちゃんとあるのかい?」


「はい。大丈夫ですよ?これでよろしいですよね。」



蓮は財布の中からカードの様な物を取りだし、カウンターの横に置いてある機器を通す。
するとレシートだけがするすると出てきた。


店員A
「え、えっと・・・まいどあり。」


「あ、この本の一部はこの住所宛てに送っておいてもらえませんか?送料はもうお支払してありますので。」

店員A
「あ、はぁ・・・分かりました。えっと・・・え?この住所って・・・」


「お願いしますね~~。」

店員A
「送り先の住所が、王城って・・・一体何者だ、あの嬢ちゃん・・・」






「お待たせしました。」


「わ、また本!?よくそんなに買う気になるね・・・。」


「久しぶりの王都ですから・・・コッチの世界でしか出版されない本もありますし、そういうのだけ買ってるつもりですが・・・。」

由紀
「にしても買いすぎだよ。もう何袋目?」


「まだ三袋めですが。」

由紀
「それ、持てるの?」


「まだ・・・イケると思います。」


「蓮ちゃん凄くぷるぷるしてるよ?全然大丈夫じゃないよね?ねぇ?」


「くっ!!この程度のほむほむも運べないなんて・・・私はもう生きていけないかもしれません!!」

由紀
「いや、深刻に考えすぎでしょ・・・てか、ほむほむって何だほむほむって・・・。」


「荷物持ちにユウちゃんとか居ればよかったのにね~~。どこ行ったんだろホント。」





???
「おい・・・。」
???
「何だよ。今は逃げることに専念するんじゃなかったのかよ?」
???
「あれ、良いと思わないか?」
???
「あれ?」
???
「あのベンチに座ってる三人。」
???
「・・・確かに上玉だな。どの子もかなり高値で取引できそうだ。」
???
「だろ?もうすぐ仲間の魔道車がくる。どうだ、イケると思わないか?」
???
「確かにこのまま手ぶらで帰ったんじゃあテッカ様に何を言われるか分かったものじゃない・・・やるか。」
???
「よし、じゃあどの子を攫うか・・・」







ドガッ!!


そんな乾いた音が響く。
そして一人の男が地面に倒れる。
モロに顔面に当たったからか前歯が二本御釈迦になっている。
男はピクピクと体を痙攣させているが、ただ単に気絶しているだけのようだ。


男B
「恋事君!!!」

優太
「あ、ごめん。流石にモロで入るとは思わなくて・・・大丈夫?」

男B
「全然大丈夫じゃねぇよ!!テメェ、よくも恋事君を・・・!恋事君はなぁぁ!!名前に恋って入ってるのに今まで一度も告白に成功したことも無いし、ナンパも躱されまくりで・・・!!」

恋事
「あ、愛羽・・・余計なこと言うんじゃねぇ・・・!!」

愛羽
「恋事君!!」

恋事
「ガキ、よくもやってくれたな・・・自慢の前歯がオシャンティしちまったぜ・・・どうしてくれる?」

優太
「オシャンティの使い方間違ってませんか?まあいいけど・・・レンジ君とやら、とりあえず折れちゃった歯のことは謝るが・・・嫌がる女の子に詰め寄るのもどうかと思うぞ。」

恋事
「んだとぉおお!!?じゃあどうしろって言うんだ!!アレ以上にスタイリッシュ且つクレイジーなナンパ方があるって言うのか!??」

優太
「いやいや・・・最初のお茶しようはいいとして、その後の休憩して行こうは発展させすぎだろ。普通にお茶に誘えばいいと思います。てかそんなデビルメイクライ的な感じでナンパされても・・・ダンテはカッコいいと思います。」

恋事
「!!!!!!!!!!」

愛羽
「恋事君?」

恋事
「そ、そうだ・・・そのとうりだ・・・。オレは何故今までそんなことに気付かなかったんだ!!」

優太
「え、それは素で言ってるのか?」

恋事
「あ、兄貴ぃぃいいいい!!兄貴と呼ばせてください!!!」

愛羽
「恋事君んんんんんんんんん!!!???」

優太
「え、えっと・・・」

恋事
「オレはもう少しでダメになるところでした!!ですが兄貴のお陰で気付けました!!オレ、心を入れ替えて明日から普通にナンパしたりします!!」

優太
「え、あーーーうん。そう?頑張って?」

恋事
「はい!!兄貴もお達者で!!オラ行くぞ愛羽ぁぁ!!チンタラしてんな!!!とりあえずバース先生の所行って前歯をブロウクンしてもらう!!」

愛羽
「恋事君、ブロウクンしたら前歯粉々になっちゃうよ・・・。」

優太
「何だったんだ一体・・・。」

???
「あ、あの・・・。」

優太
「ん?」



振り向くとさっき逃げていったはずの二人がそこに居た。
さっきおねえちゃんと呼ばれていた女の子が頭を下げてお礼を言ってくる。
それに倣うようにしてかすみと呼ばれていた女の子も頭を下げてきた。


優太
「あ、いや・・・別にお礼を言われるようなことは何もしてないし・・・。頭上げてくれよ。」

???
「いえ、助かりました。今日のはひつこかったので呆れていたんです。」

かすみ
「そうそう。最近はああいうのが多くて困っちゃうよ~~。」

優太
「そうなのか?よく知らないんだけど・・・あ、てか名乗ってなかったか・・・オレは福島優太って言うんだ。」

すみれ
「申し遅れました。私は草壁すみれと申します。こっちは妹のかすみです。」

かすみ
「あーーーー!!何で私のことまで紹介しちゃうんだよーーー!」

すみれ
「はぁ?面倒なことは先に済ませた方が良いと思っただけじゃない。」

かすみ
「ぶーぶー。とりあえずよろしく、ユウタ君。」

優太
「ああ。よろしく。あ、そうだ・・・イキナリ悪いんだけど『ギルド』の本部を探してるんだけど知らないか?」

かすみ
「本部?それならこの道を真っ直ぐ行けばいいんだよ。」

すみれ
「私達も調度買い出しでそっちに行こうと思っていたのでよければ案内しましょうか?」

優太
「ホントか?それは助かるよ。」

かすみ
「じゃあ、行こう行こう!」



そう言うと、かすみは早足でその場から走り出す。
と言っても着てる服が服だけにそこまで早くは走れていないが。


かすみ
「ほらほら、すみれちゃん!ユウタ君!早く行こうよ!」

すみれ
「こら!かすみ!はしたないから走るのは止めなさい!転んでも知らないわよ?」

かすみ
「へへーーん!これくらい大丈夫だもんねーーー!!」

すみれ
「もう・・・ホントに言う事聞かないんだから。」

優太
「まあ、元気なのは良い事だと思うよ。姉としては心配なんだろうけど・・・」

すみれ
「そうですね。まあ双子ですし厳密にどっちが姉でどっちが妹かなんてあんまり意味無いんですけどね。」

優太
「そういうものなのか?」

すみれ
「ま、母さんに聞いた話では私の方が先に出てきたらしいので私が姉ってことになってますけど・・・」

優太
「ふーーん。」

すみれ
「ちょっと家庭の事情で家には母さんしか居ないんです。なので私があの娘の面倒を見ることが昔から多くて、その所為か私がしっかりしなくちゃって思うようになってしまったんです。でも、今ではそれで良かったな~~~と思います。」

優太
「なるほど・・・自分にはこういう方が合ってるって思ったからか。」

すみれ
「いえ。あんなのが姉だったら恥ずかしいじゃないですか。」

かすみ
「クシュン!!あれ?風邪かな・・・すみれちゃーーーん!何か言った~?」

すみれ
「何も言ってないわよ~。ほら、ちゃんと前を向いて歩きなさい。街灯にぶつかっても知らないわよ。」

かすみ
「大丈夫大丈夫。そんな子供みたい・・・な!!!??



ゴン!!と何か堅い物にぶつかる音がしたと同時にかすみが後頭部を抑えつつその場にうずくまる。
その後ろには長い鉄製の柱が立っている。
先端にランプの様な物が付いている辺り、あれは街灯だろうと言うことが予想できた。


かすみ
「っっっっっっっったーーーーーーー・・・・!!!」

すみれ
「だから言わんこっちゃない・・・。」

かすみ
「が、街灯があるならそう言ってよ!!」

すみれ
「注意はしたじゃないの。『ぶつかっても知らないわよ』って。」

かすみ
「分かり辛いんだよ!!○○ーリーを探せより難解だよ!!」

優太
「とりあえず大丈夫か?結構凄い音してたけど・・・。」

かすみ
「心配してくれてありがとう・・・。コブにはなってないし、大丈夫だよ。いや~~ユウタ君はすみれちゃんと違って優しいな~~。ホント妹に対する愛をまるで感じないよね~~~あの鬼からは。。」

すみれ
「ヴぁ!?」

かすみ
「すみません。冗談なんですホントはもの凄く尊敬させて頂いておりますお姉さま!!」

すみれ
「全く・・・ほら、これでも当ててなさい。」



そう言って着物の裾からスプレーと一緒にハンカチを取り出す。
そしてスプレーを何度かハンカチに吹き付け、それをかすみに手渡した。


かすみ
「これ・・・冷たっ!」

すみれ
「冷却スプレーよ。良かったわね私がたまたま持ってて・・・。」

かすみ
「すみれちゃん・・・。」

すみれ
「ほら、早く行くわよ。今度はちゃんと前を向いて歩きなさい。」

かすみ
「うん。分かった!ありがとね、おねえちゃん!」

すみれ
「別に・・・たまたまだって言ってるでしょ。」

かすみ
「うん。じゃあ、たまたま持っててくれてありがとう。」

すみれ
「そうね。たまたま、あって良かったわね。」

優太
「(口では何だかんだ言って心配してるのか・・・。流石はおねえちゃんだな。)」







??
「ネロ。アレが例の連中か?」

ネロ
「うん。そうみたいね・・・あの魔導車、逃走に使うつもりよね?きっと・・・。」

??
「だろうな。」

???
「とりあえず捕まえちまう?」

???
「アラド・・・アンタ何も分かってないのね。アイツらが怪しいってだけで証拠も何もないのよ?これでもし違ったら色々と不味いでしょうが・・・」

アラド
「えぇ~?だってキース達の調べでは七割方アイツらで決まりって出てたじゃん。」

??
「七割だろうが八割だろうが関係ない。確かな証拠・・・もしくは犯行現場を現行犯で抑える。それが一番確実なんだよ・・・。だから今は見失わないように見張るのが一番だ。」

ネロ
「!?メダ、奴らが連絡を取り始めたみたいだけど・・・」

メダ
「仲間と連絡を取っているのかもしれないな・・・。」

アラド
「いや、もしかしたら女と揉めたりしてるだけかもしれないぜ?」

???
「アラド、アンタ空気読みなさいよ・・・そんなことある訳無いでしょ?」

アラド
「いやいや、あの焦りよう・・・四割方女絡みとみた!」

???
「四割とか地味に自信無さすぎでしょ・・・」

アラド
「うるせぇな、ゼオラ・・・コレは場を和ませるための軽いジョークって奴で・・・」

ネロ
「傍受してみたけどホントに女と揉めてるみたいよ。」

ゼオラ
「嘘ぉ!??」

ネロ
「『もう何で帰って来てくれないのよ!!私とは遊びだったの!?』」

ゼオラ
「うわ、しかもイキナリ修羅場展開だし・・・。」

ネロ
「『ち、違うんだジェニファー!!これには深い訳が・・・!』」

アラド
「ははは、バカだなこの男。謝るだけで許してもらおうとか女を甘く見すぎだろ!」

ゼオラ
「そういうアンタも人のこと言えないじゃない。」

アラド
「オレ女の子にはメチャクチャ優しいから問題無いもんね!!あ、ゼオラ以外でね。」

ゼオラ
「何で私が女と思われて無いのか理由を説明してもらおうか・・・えぇ?」

アラド
「だからそういう喧嘩っ早いところがだな・・・」

メダ
お前らさっきから五月蠅いわ!!もう少し静かにしろ!!!

ネロ
「メダ、今この瞬間だけなら貴方が一番五月蠅いわよ・・・。」

メダ
「・・・・・・・・・・・・スマン。」









第三話「『天統べる煌星』。。」






中心街を東に抜けるとそこはもうギルド街だ。
入ってしばらく進むと調度目の前に一軒だけ他の家よりも大きな建物が見えてくる。
かすみはそれを指差しながら、


かすみ
「あれが本部だよ。」

優太
「アレか。まだ居るかなアイツら・・・どこか別の場所に行ってなければいいが。」

すみれ
「それでは私達はここで・・・本当にありがとうございました。」

優太
「あ、お礼何て良いよ。オレもここまで連れて来てもらったし・・・おあいこってことで一つ、な?」

かすみ
「んーーーー。でも何か返したりない気がするよ・・・あ、そうだ!ユウタ君は今日泊まり?」

優太
「え・・・?うーーーん、分かんないけどそうなるかもな。アイツらやりたいことあるみたいだし・・・」

かすみ
「すみれちゃん、じゃあさ~・・・ウチに来てもらわない?そうしたら色々お礼してあげられると思うな。」

すみれ
「そうね。アンタにしてはマトモなこと言うじゃないの。と、言う訳でどうでしょうか?お部屋を用意しますので是非来て頂けませんでしょうか?あ、もちろんお代は安くしておきますから。」

優太
「え・・・でも、迷惑じゃないかソレ。」

かすみ
「ううん。全然!持て成すのが仕事だから慣れてるよ~~。」

すみれ
「普段から失敗ばっかのクセに良く言うわ・・・」

かすみ
「ぐはっ!すみれちゃん何でそういうこと言うかな!!」

優太
「んーーーーー・・・じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな。こっちは全部で八人なんだけど・・・」

すみれ
「分かりました。そのように手配させていただきます。」

かすみ
「えっと・・・場所はこの宿だから。」



かすみは裾の中からチラシのような物を取りだす。
そこには宿の宣伝等が書いてあった。
下の方に地図が載っており、見た感じさっきの公園を南東方面へ行った場所にあるようだ。


優太
「うん。分かった。できるだけ早く行くようにするよ。」

すみれ
「はい。お待ちしております。」

かすみ
「じゃあねユウタ君!また後でね~~。」



すみれとかすみは一礼すると二人で中心街の方向へ歩いて行った。
優太はとりあえずチラシをポケットに仕舞い、目の前の大きな建物へ向かって歩く。
その前まで来て初めて気付いたが、何かこの建物西部劇で出てくるような酒場をイメージさせるようなデザインをしている。
優太はその入り口に取り付けられたスイングドアーに手をかけて開こうとする。
が、何故か引けない。
逆に優太は押してみる。
するとスイングドアーが動いた。
何か映画で見たのと逆な気がするんですが・・・
とか少し思いつつ中に入る。
すると店内に居た数十人の男女からの視線を浴びる。
中はかなり広く、外から見た物より奥に広い。
奥にはカウンターの様な物がいくつも並んでおり、その一つ一つに女の人が座っている。
ココから見るだけでも7、8人居そうだが・・・
さらに奥の方にも同じようなカウンターが並んでいる。
どう言うシステム何だか分からないが今はとりあえず手近のカウンターに向かうことにした。
その道すがら右手側には大量の掲示板が並んでおり、その一つ一つに大量の依頼書らしい紙が張りつけられている。
その数はかなりおびただしいもので何枚も重なって張りつけられている辺り、数千、数万・・・数えるだけで嫌になるような量だろう。
左手側にはテーブルやイスが無造作に置かれており、食事やらができるようだ。
どこの席でも基本的にガラの悪そうな男が昼間だと言うのに酒を片手に世間話?のようなことを話しているようだ。
兎に角見た目どうりの雰囲気に軽く流されつつ、優太は手近にあったカウンターの女の子へ話しかけた。
数あるカウンターの中でここの女の子だけ妙に若く、歳も近そうだったので話しかけやすそうだったからだ。


優太
「あ、あの~~・・・ちょっとお聞きしたいんですが。」


「はい、何でしょうか?」

優太
「ここに『ギルド』への申請をしに来た女の子はいませんでしたか?」


「あ、もしかして千草さんと鳳仙さんのことですか?」

優太
「あ、やっぱり来たんだ。どこに行ったか分かりますか?」


「えっと、早速請けられる依頼をしこたま請けて・・・つい先ほど出ていかれましたよ?確か中心街の方で準備をしてから行くと言ってましたけど。」

優太
「そ、そうなの?くそ、行き違ったか・・・」


「あの、つかぬ事をお伺いしますが・・・もしかして福島優太さんですか?」

優太
「え、ああ。優太はオレだけど・・・何でオレの名前知って・・・、ああ。アイツらから聞いたのか。」


「はい!それでですね、優太さんは一応千草さん達の立ち上げた戦団のリーダーに選ばれていまして・・・」

優太
「はぁ!!?本人の意思無視して何してくれちゃってんのアイツは!!」


「あ、あはは・・・それでですね。コレから軽く戦団についての説明をしたいんですけど・・・よろしいですか?」

優太
「え、えーーー?メンドイな・・・それって絶対聞かなくちゃダメなの?」


「どうしても嫌ならこの簡潔に規則とかまとめた『親父にもぶたれたこと無い情けない人でも分かるギルド規則』をお貸ししますが。」

優太
「何だよそのもの凄くピンポイントな人物へ向けたマニュアル。まあ、ツッコむのもバカらしいから普通に貸してもらいたいです。」


「分かりました。返却は何時でもいいですけど冊数が少ないのでできるだけ早く返却願いますね。」

優太
「分かった!えっと・・・」


「どうしましたか?」

優太
「えっと・・・君の名前を聞いてなかったから・・・。」


「私ですか?私は七瀬鳴(ななせなる)と申します。優太さん達の戦団専門の窓口役をやらせていだきますので今後ともよろしくお願いします。」

優太
「鳴、か。うん。分かったコレからよろしくな!あ、それと失礼じゃなければ歳とか聞いてもいいかな?」


「私は16です。今度の7月で17になります。」

優太
「あ、じゃあ同い年じゃんか。だったらできれば敬語は無しで頼んでいいか?あんまり固いの得意じゃないからさ。無理にとは言わないけど・・・。」


「うーーーーん。ホントはダメなんですけど・・・と言うかそういうの苦手なんですけど・・・。」

優太
「え、ああそういうタイプの人だったの?じゃあいいよ無理にしなくて。自然にできる方でお願いします。」


「はい、そういってもらえて安心しました。」

優太
「そっか、まあ人間自然が一番だよな。じゃあ、オレは中心街に行ってみるよ。また今度な!」


「はい!またのご利用お待ちしてますねーー!」





優太
「さ、て・・・とりあえず中心街の方に・・・」



「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


突如、西の方から女性の悲鳴が響いてくる。
それと同時に車のブレーキ音だろうか・・・キキーーーッと甲高い音も聞こえてくる。
その音が響いてからスグにエンジン音が聞こえてきたが、その音はスグに遠ざかって行った。
音は中心街の方からだ。
しかも聞き間違いでなければあの声に聴き覚えがあった。


優太
「何だ!?今の声・・・かすみに似てる気がしたが・・・兎に角行ってみるか!!」



優太は本部前から中心街の方へ真っ直ぐ走る。
中心街に近付くにつれて人混みが増えてきている。
騒ぎを聞きつけてやってきたのだろうか。
その人達は口々に「またか。」だの「こんな昼間から白昼堂々と噂はホントだったのか?」とか意味深な言葉が耳に飛び込んでくる。
優太には何のことだか分からないがやはり何か事件が起こったようだ。
人混みを掻き分けてその事件があった現場の中心に入る。
するとそこには地面にうつ伏せにして倒れているすみれの姿があった。
優太はスグにすみれを抱き上げて声をかける。
が、反応がなかなか帰ってこない。
見ると着物あちこちから血が染み出してきている。
量的には大したことの無いように見えるが・・・



「優太さん!?」


「あ、ユウちゃん!!こんな所に居たの!!?」



聞き慣れた声が同時に背後から聞こえたので優太はすぐさま振り向く。
そこには蓮と唯の姿があった。
二人は走ってきたのかかなり息も絶え絶えのようだ。


優太
「蓮!よかった、コイツを診てやってくれないか?さっきから呼びかけても反応が無くて!」


「!?分かりました、とりあえず寝かせてくれますか?」

優太
「ああ!」


「そ、それも大変なんだけど・・・コッチはもっと大変なんだよ!!」

優太
「どうしたんだ唯・・・まずは落ち着け、何があった?」


「由紀ちゃんが・・・由紀ちゃんが攫われちゃったんだよ!!!」

優太
「はぁ!!!!??」


「三人で買い物してたらね・・・何だか急に車が前から突っ込んで来て・・・気付いたのが早かったから三人ともその車は躱せたの。でも、その後倒れている間に由紀ちゃんが車に連れ込まれちゃって・・・それで、それで、蓮ちゃんと一緒に追いかけたんだけど全然追いつけなくって・・・」

優太
「え、は?何言ってるんだよ・・・ほ、本当なのか?」

??
「悪いが本当だ。」

優太
「なっ!?」

??
「だが、安心しろ・・・連れ去られた友人はオレ達が必ず助け出す。アラド!車を回せ!!ネロは至急本部に連絡!ゼオラは民間人の対応をできる範囲で済ませろ!!」

優太
「だ、誰だよ・・・。イキナリ任せろだの何だのって・・・」

??
「オレ達は『ギルド』の者だ。だから怪しむ必要は無い。」

優太
「そういうことじゃなくて・・・何でそんなに詳しそうなんだよ。見てたとでも言うのかよ・・・」

??
「見ていたよ。」

優太
「なに?」

??
「その犯人グループと思われる奴らをずっと監視していたんでな。お陰で奴らの事件への関与を確認できた。」

優太
「じゃあ・・・お前は犯人が分かっててずっと見続けていたってのか?捕まえることだって、事前に防ぐこともできたのにか!??」

??
「そうは言うがな・・・こういう物には順序と言う物がある。民間人にとやかく言われる筋合いはないな。」

優太
「オレだって『ギルド』の一員だ!!」

??
「そうか。『ギルド』の一員だったか。だったらなおのことオレに指図するな。オレはちゃんと順序を守って行動している。」

優太
「だから・・・その順序が何だか知らねぇが、オレの家族が攫われるのを何でみすみす見逃したりしたんだよ!!ふざけてんのか!」

??
「何度も言わせるな・・・オレは順序を踏んだにすぎない。お前こそ『ギルド』の名を背負うつもりなら私情で行動するな。そんな物で行動するような奴は三流だからな・・・。」

優太
「テメェ・・・!」

???
「おっとそこまでそこまで!あんまり相手を挑発すんなよメダ。」

メダ
「そんなつもりは無い。準備はできたのかアラド。」

アラド
「おぅ、何時でも追えるぞ!」

メダ
「そうか。なら行くぞ。」

優太
「待てよ!!まだ話は終わってねぇぞ!!!」

メダ
「・・・お前の家族はオレ達が必ず救い出す。それだけは約束しよう・・・」

アラド
「全く、こんな時まで肩肘張りやがって・・・悪いなウチの副団長が迷惑かけて。アレでも責任感じてるんだよ。なまじ責任感が強いぶんな。」

優太
「・・・ホントかよ。それがホントだったらどれだけツンデレなんだよ。」

アラド
「ははっ!それもそうだな。ま、兎に角だ・・・お前の家族は必ず救い出す!オレ達『天統べる煌星』がな!」

優太
「てんすべるほし?」

メダ
「アラド!!何してんだ!!早く行くぞ!!!」

アラド
「ああ!じゃ、後でな!!」



その四人組は道端に止めてあった車に乗り込むと颯爽とその場を走り抜けていく。
その後ろ姿が遠ざかる。
その時、自分の名を呼ぶ声が聞えた気がした。
声の方向を向くと蓮に抑えられながら上半身を起こしているすみれがいる。
優太はすみれに寄ると何があったのか聞くために質問を投げかけた。


優太
「どうしたんだよその傷・・・。」

すみれ
「さっき話に出ていた車の所為です。気付くのが遅くて後ろから軽くですが撥ねられました・・・」

優太
「おいおい、よく生きてたな。」


「いえ、処置があと数分遅れていたら危なかったです。お陰でかなりの魔力を消費しました・・・」

すみれ
「す、すみません。ありがとうございます。」


「いえ、優太さんの知り合いとあらば見捨てる訳にもいきませんから・・・。あまり無理はしないでください。まだ体内では再生が繰り返されていますので・・・。」

すみれ
「分かりました。気をつけます。」

優太
「それより、かすみはどうした?もしかして・・・」

すみれ
「そうなんです!かすみも連れて行かれてしまったんです・・・私としたことが不注意でした。」

優太
「何でこんなことが起こってやがる・・・しかもピンポイントにオレの知り合いが被害に会うってどういうこと何だか・・・」


「ねぇ、ユウちゃんどうしよう・・・あの人たちに任せちゃって大丈夫かなのかな・・・。」

優太
「ダメに決まってるだろ・・・アイツらが誰だろうが関係無い。由紀やかすみを攫った奴らにはオレが直接落とし前をつけないと気がすまねぇ・・・!!」


「ですがどうやって追いますか?残念ながら足が無いとどう考えても無理ですよ。それに目的地も分かりませんしね。」

すみれ
「・・・それなんですけど、どうにかなるかもしれません。」

優太
「本当か!??」

すみれ
「ええ。とりあえず、ウチの宿へ来てもらえますか?」








第四話「人攫いを追って。。」






??
「で、かすみがその連中に連れてかれたってのかい?」

???
「すまん。あまりにも急だったもので反応するのが遅れた・・・」

??
「いや別にそこはとやかく言う気はないが・・・アンタこんな所で油売ってていいのかい?」

???
「ああ、もう手配は済んでいる。今から奴らのアジトへ乗り込む。」

??
「気の早い男だねぇ・・・。それより、すみれの奴が轢かれたってのは?あの娘は大丈夫なのかい・・・?」

???
「大丈夫だ。スグに来た少年達の救護を受けて持ち直していた。凄い治癒術だった・・・。あれは一体誰だ?」

??
「そんな高名な治癒術師の知り合いは居ないねぇ・・・。大方最近知り合ったとかじゃないかい?」

???
「ふ、ん。そうかもしれないな。あの娘達は草壁に似て美人だからな・・・変な男が寄ってくるのも分かる。」

??
「何をサラリと惚気てるんだよ・・・。ま、悪い気はしないけどね。」

???
「だが、嫁に出す気はないぞ!!!」

??
「そんな頑固親父キャラを今更作る暇があるならさっさと追っかけなよ。私も後から行く。」

???
「なら、一緒に行くか?座席なら空きがあるぞ。」

??
「いや、後からそのすみれの知り合いと行くことにするよ。」

???
「なに言ってるんだ・・・?彼らが協力してくれると言うのか??」

??
「ああ、何だかそんな気がするんだよ。」

???
「それは、女の感と言う奴か?」

??
「そんな所かねぇ・・・。兎に角私も後から行くから、先に言って暴れておいとくれ。」

???
「了解した。」

??
「さ、て・・・思いもかけずアレの性能実験が出来そうだねぇ・・・ふふふ、あっーーーーーーーーはっはっはっはっはははははははははは!!!!!

???
「誰が悪役だか分からないぞ草壁・・・。」







優太
「ちくしょう。何で由紀の奴が攫われるんだ?つか、何がどうなってる・・・展開が急すぎて読者はもちろんだがオレも付いて行けないぜ・・・!」

すみれ
「た、多分ですが・・・アレは最近横行している人攫いだと思います。」

優太
「人攫い!!?な、なんだよそれ・・・こっちでは割と普通なことなのか?」

すみれ
「いえ、ホントに最近になって急に増えたんです。今月に入ってもう十数人の女性が昼夜問わずに攫われているんです。」

優太
「なるほどそこら辺の事情は理解した。だが、それなら何で誰も警戒してないんだ?『騎士団』とかってのがあるんだろ?」

すみれ
「『騎士団』は基本的に王都四方に位置する門を警護しています。この城下町付近は『ギルド』の人達が巡回しているはずなんですが・・・」


「・・・(私が居なくなってからまた民間人との接点が薄れたようですね・・・シオンは何をしているんでしょうか。)」


「それよりユウちゃん大丈夫?」

優太
「あぁ?なにが?」


「人をおぶりながら走るのがですよ。」



すみれの怪我はかなり深い物らしく、もうしばらくは安静にしていないとならないらしい。
しかし、すみれのウチに行こうと言う時にすみれを置いたままでは話にならない。
なので優太がすみれをおぶって目的地である、すみれの宿へ向かうことになった。


すみれ
「す、すみません。重くないですか?」

優太
「大丈夫だよこれくらいは軽い軽い!まあ、確かに普段よりは疲れるけど・・・あんまり気にせず掴まってろって。」

すみれ
「はい。それでは、お願いします。」



そう言うとすみれは首に回した腕に力を入れる。
その分背中にすみれの体が密着することになった。
何だか柔らかい物が肩甲骨辺りに当たってる気がする。
言われもしないのに全神経が背中に向かってしまうのは男の悲しい性である。
多分すみれも分かってると思うんだけど止める気配が無い。
状況が状況だけにそこまで浮かれている暇はない。
優太は煩悩を掃いつつ、南街を目指す。
その道すがら、知ったような後ろ姿を前方に見つける。
あの後ろ姿は愛依に奏だ。


優太
「愛依!奏!!」

愛依
「ん、あれ?おにいちゃん!良かった・・・もうどこに行ってたの・・・?」

優太
「ああ・・・色々話したいことはあるんだが、とりあえず話は後だ!!一緒に来い!」


「何で私がお前の言う事を聞かないとならないんだよ・・・。やだね。私は愛依と一緒にこれから宿を探しに・・・」

優太
「宿!?それならもう見つけてあるから大丈夫だ!とりあえず何でもいいから付いて来てくれ!急いでるんだ!!」

愛依
「ど、どうしたの?何でそんなに急いでるの?」

優太
「説明は走りながら蓮とか唯に聞いてくれ!!」



言うが早いか優太はスグに走り出す。
その後を追うように愛依と奏も走る。
奏は訳が分からなそうにつぶやく。



「何なんだよ一体・・・」


「実はですね・・・」


「由紀ちゃん大ピンチなんだよ!!」

愛依
「えぇ!!?由紀さんが攫われた!!??ホントなのおねえちゃん!」


「実は本当なんだよーーー。それで、すみれちゃんの家に行けばどうにかできるかもしれないから今はそこに向かってるんだよ。」


「すいません。何でそんなので通じたんですか・・・?全く理解できないんですけど。」


「私達、姉妹だからね!!」


「意味が分からないです!そこだけもの凄くやっつけな展開なんですね!!」


「とりあえず事情は理解したけど・・・どうにかって・・・。追いかけて助けるって言うのか?」


「そうじゃないですかね。話の流れ的に・・・。」


「アイツ、本当に巻き込まれ体質だよな・・・。ま、色んな意味で飽きないから良いけどさ。」







メダ
「アラド、ちゃんと発信機は付けたのか?」

アラド
「ああ。一応。確認してみてくれ。」

メダ
「ん、よし。大丈夫そうだ・・・この方向だと南の森を目指してるみたいだな・・・。」

ネロ
「あら、ここって確か・・・」

ゼオラ
「何かあるの?ネロ。」

ネロ
「う~~~ん。記憶違いかもしれないけど・・・ここって確か・・・」

メダ
「考えるのは後でも出来る。わざわざ泳がせてまで掴んだ情報だ。あの子を助けるためにも急ぐぞ!ネロ!応援の要請はしてあるな!?」

ネロ
「うん、そこら辺は問題ないよ。メダ。」

アラド
「で、どうする?このまま突っ込む?」

メダ
「当たり前だ。と、言いたい所だが・・・このまま本体との合流を待った方が正しい選択だな・・・。」

アラド
「オレはお前の判断に従うぜ。ご命令とあらばな・・・。」

メダ
「・・・いや、やはりここはオレ達だけで先行する。先に少しでも情報を得ておいた方が後続にとっても有益だと判断する。」

アラド
「お、話が分かるなメダ!オレもぶっちゃけそうしたかったんだよな!」

ネロ
「それじゃあ、目的の施設に近付いたら魔道車を隠して徒歩で潜入した方がよさそうね。」

ゼオラ
「潜入かーーー。そういうのあんまり得意じゃないけど・・・やるからにはベストを尽くすわ。」

アラド
「よし、じゃあ飛ばすぜ!!みんなしっかり掴まってろよ!!」

メダ
「私情を挟むな・・・か。ふ・・・オレも言うようになったもんだ。」

ネロ
「何か言った?メダ。」

メダ
「いや・・・。何でもないさ。」







優太
「うおっ!スゲェなこの旅館・・・」

すみれ
「そうですね。私も毎日見てますが何時までも慣れません。」

優太
「て言うか街並みが完全に西洋風なのにここ一帯だけ東洋風でビックリする。個人的に落ち着くから良いけど・・・」

すみれ
「とりあえずこちらです!」

優太
「ああ。」



優太達は門を潜って屋敷の中に入る。
正面玄関から入るとすぐ目の前にカウンターがあった。
そのカウンターの隅にあるノートのようなものにすみれは慣れた手つきで文字を書き込んでいく。
数分してペンを置いたすみれはカウンターの中に入り、棚の中からプレートを取り出す。
そのプレートをカウンターに備え付けてある機器に通すと「福島様御一行之部屋」と書き込まれて出てくる。
どうやらさっきのノートとこの機械は何らかの方法でデータを同期させているようだ。
プレートを三つ分手に持ってすみれはカウンターから出てくる。


すみれ
「とりあえず部屋の方に案内させていただきますね。話はそれからにしましょう。」

優太
「え、でも急いだ方が良いんじゃあ・・・」

すみれ
「それもそうなんですが先に部屋を割り振っておかないと急な予約が入った時に部屋が無くなってしまっては大変ですから・・・。」

優太
「それもそうか・・・。じゃあとりあえず早く部屋に行こうぜ。」

すみれ
「はい。それでは付いて来てください。」



すみれの後に付いて行くこと数分。
渡り廊下を渡り、離れの方に移動する。
どうやら宿舎が二つに分かれているらしい。
それに何だか内装が離れの方が豪奢な気がする。
ちょっと不安になったのですみれに軽く尋ねる。


優太
「あの、すみれさん・・・ここは基本的に一泊おいくらになるんでしょうか?」

すみれ
「そうですね~~。普通なら御一人様、お夕飯付きで一泊二万Gくらいでしょうか・・・。」

優太
「え、それって日本円にするとどれくらい?」


「二十万ですよ。しかもその言い方だと夕飯以外を入れるともっとするってことですよね?」

優太
「はぁっ!!?一泊夕食付きで一人二十万んんんんんんんんんん!!!??どんな高級旅館だよ!!!」

すみれ
「まあ老舗旅館なので・・・。」

優太
「関係無いだろ!!てかそれってちゃんと成立するの!??誰も泊まらなそうですけど!!」

すみれ
「そんなことありませんよ。ちゃんと固定客は付いてますし、基本的にここの離れ部屋を使うのは富豪や貴族の方たちですから。それに向こうの本館の方なら朝夕一泊で二千Gですし。」

優太
「?それって高いの安いのどっちなの?」


「平均的にみると高い部類に入りますね。まあ、この外装ですから・・・高級旅館クラスに入りますから二万くらいなら妥当な所かと。」

優太
「そうなのか・・・う~~~む・・・お金足りるかなーーー・・・。」

すみれ
「あ、お代なら大丈夫です。助けてもらったお礼に普通料金の二千Gでいいです。なので八人でしたよね・・・全部で一万六千Gになります。」

優太
「あ、あとで払うで良いよな?ぶっちゃけ換金してないからこっちの通貨持って無いんだよ・・・。」

すみれ
「はい。別にお支払いは何時でもいいです。都合がついたらでお願いしますね。」

優太
「うう、うぃーーっす。りょーかいっす・・・。」


「あ、ユウちゃんが萎れてるよ?」


「まあ、無理もありませんね。全額自分持ちなんですから・・・。」

優太
「ちょっと待って!!!何時の間にそういう話になった!???」


「なんだ私に金払えってのかお前・・・。」

優太
「ちょっと皆さん冷静に考えて。一人二万円で、八人だから十六万円だよ?それをオレが何で全額自腹切れみたいな空気になってるのかなーーー。オレが納得のいくように説明していただけるととても嬉しいんですけど・・・」


「ずばり言いますが・・・割り勘なんてそんな甲斐性無しな行動、優太さんはしませんよね?」

優太
「え・・・」


「まあ、払えと言われれば払いますが・・・優太さんそんなことでいいんですか!?仮にも男なら、即決で十六万出すくらいの方が男らしいですよ!!!」

優太
「え、えっと・・・あ、アレ?な、何だろう・・・もの凄く一方的な訴えの筈なのに納得してしまう自分が居る・・・!!どうしてだ・・・何で!!」


「優太さん、ちなみにこういう時にスッパリ出してくれる男の人の方がモテますよ?」

優太
「マジか!!よし、やっぱりここはオレが持つぜ!!!」


「そうですか!ありがとうございます!」

優太
「ははは!何かまた一つ男として磨きがかかった気がするぜ!!」


「蓮ちゃん、今言ったことって・・・。」


「まあ、まるで嘘ってわけではありませんが・・・?甲斐性の無い男性ってこの上なくモテないと私は思いますしね~~。」

すみれ
「とりあえず話はまとまったようなので行きましょうか。」色

優太
「そうだったな!急がないと・・・。」







荷物を部屋に置き、優太達は離れのさらに奥の部屋まで案内される。
すみれが言うには女将さんに頼めば追いかけることができるかも知れないと言う話だが・・・
すみれは部屋の障子を軽く開けて中に話しかける。


すみれ
「女将さん。」

女将
「すみれかい・・・。どうしたんだい?そんなに慌てて・・・」

すみれ
「いえ、実は緊急の用件故・・・」

女将
「まあ大方話は分かってるけどね。かすみが攫われて、それをそいつ等がと一緒に追いかけたいんだろう?」

すみれ
「え?何故それを・・・」

女将
「ちょっと知り合いにサラッと聞いただけさ。」

すみれ
「はぁ・・・まあ、説明の手間が省けるので良しとします。」

優太
「それで・・・具体的にはどうするんだ?相手の行き先も分からないし、足も無いんじゃあ追いかけられないぞ?」

女将
「それなら両方とも問題無い。目的地は既にその知り合いから聞いた。足はウチの車を使えばいい。」

すみれ
「と、言う訳です。早速追いかけましょうユウタさん!」

女将
「まあ、待ちなよすみれ・・・優太とか言ったかい?アンタ、戦えるんだろうね?」

優太
「・・・人並みくらいにはできるつもりだけど。」

女将
「なら自分の身は自分で守れるね。」

優太
「出来る範囲でやらせてもらう。オレも死にたい訳でも無いからな。」

女将
「そうかい、なら付いてきな。だが、行けるのは私とすみれとアンタとあと一人だけだ。全員はとても運べないよ。」

優太
「そ、そうなのか?どうする?」


「付いて行きたいのも山々なんですが・・・さっきの治癒で大半の魔力を使ってしまいました。もうしばらく休まないと魔力が回復しきりませんので私は残らせてもらいます。」


「私は行きたい!何も出来ないかもしれないけど・・・。ユウちゃんを傍で応援したいよ。」

愛依
「で、でもおねえちゃんは本当に何もできないんだよ?自分の身だって自分で守れるかどうか・・・」


「・・・。」


「でも・・・待ってるだけなんて絶対嫌だもん!」


「ねえさん・・・私が行きますよ。」

愛依
「カナちゃん!?」


「私なら自分の身ぐらい自分で守れるし、戦うのも慣れてる。問題無いだろ・・・。」


「奏ちゃん・・・でも・・・」


「大丈夫ですよ、ねえさん・・・。不本意ですけどコイツとなら死ぬことは無いと思いますから・・・。ま、私もともと不死身みたいなものですけど。」


「う、うん。分かった。じゃあ、ユウちゃん、奏ちゃん・・・気をつけてね。」


「ええ。任せてください!」

優太
「よし、じゃあ行くか・・・奏、準備は良いんだな?」


「問題無いさ。何時だって戦う準備なら万全だ・・・。」

優太
「なら行くか!これでやっと助けに行ける・・・待ってろよ由紀、かすみ・・・!スグに行くからな!!」








かすみ
「ん・・・」

由紀
「あ、気が付いた?」

かすみ
「貴方は?て言うかここ、どこ?」

由紀
「私も分からない。買い物してたらイキナリ後ろから掴まれて・・・」

かすみ
「も、もしかして最近巷で有名な人攫いかも・・・」

由紀
「人攫い?」

かすみ
「数年前からちらほらあったらしくて・・・最近になってまた流行ってるらしいって聞いてたんだけど・・・うーーー、どうなっちゃうんだろう・・・。」

由紀
「うーーーん、多分大丈夫だと思うよ。何かある前にどうにかなると思うし。」

かすみ
「どうして?」

由紀
「多分だけどね、助けが来ると思うんだ。」

かすみ
「助け?ああ、もしかしたら『ギルド』とか『騎士団』が動いてくれるかもってこと?」

由紀
「ううん。そうじゃなくて、私の知り合いの優太って言うのが来てくれるかもって・・・。」

かすみ
「え、ユウタ君が?何で??」

由紀
「え、優太のこと知ってるの?」

かすみ
「うん。ついさっき?街で変な男達に絡まれてる所を助けてもらったんだ。」

由紀
「ああ、そういうありきたりな展開が来ちゃいますかこのご時世に・・・よくもまあ飽きずにやるよね~~。」

かすみ
「そ、そうかな・・・ボーイミーツガール物なら不動の鉄板展開だと思うんだけどな~~。」

由紀
「う~~~ん。もっとこうさーーー、斬新さが欲しいよね。今の日本に必要なのは今までに無かった斬新な展開とかを閃くことだと思うな私は!」

かすみ
「た、例えば?」

由紀
「例えば・・・そう、第一話からイキナリヒロインが全く関係ないモブ男に寝取られるとか・・・。」

かすみ
「ごめん、それは確かに斬新だけど誰一人として求めてないと思うよ。つか、確実にアンケートで票入らないよね。」

由紀
「じゃあ、イキナリ親の借金一億五千万を・・・」

かすみ
「それ既にやられてるよ!!映画化までしちゃったよ!!アニメ第三期も決まってるらしいよ!!今から楽しみだよね!!!」

由紀
「じゃあ、高校入学を機に『軽音楽部』に入った女の子達の・・・」

かすみ
「それも映画化までしてるよね!!気付いたらみんなその色に染まっちゃってましたからね!!書く言う私もすみれちゃんと一緒に全話欠かさず見ましたけどね!!と言うかこのネタ過去話中に使うとか不味くないの!??完全に時系列の流れ無視してるよね!!」

由紀
「ネタは新鮮さが命なんだよ。ここで使わなかったら、何時使えって言うのさ!!!」

かすみ
「ある種この展開が斬新だーーーーーーーーーーーーー!!!時系列無視したネタを分かった上で多用してくるこの無理矢理通り越して作者の考え無しの思いつきによる奇行!!この展開こそ今の日本に無い斬新さかもしれないよ!!!」

由紀
「あ、熱く語ってるとこ悪いけど別にこれ、珍しくもなんともないよ。」

かすみ
「そうなのかよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!???よく分かんないけど!!」

由紀
「と、言う訳でちょっとは気も紛れた?」

かすみ
「え・・・あ、そうだね。ちょっとは紛れたかも。」

由紀
「それじゃあ、助けが来るまでこの感じで突っ走ろうか!!」

かすみ
「嫌だよ!!私がツッコミ疲れるよ!!気は紛れるけど気が気じゃないよ!!!」







優太
「・・・コレが車両?」

女将
「そうだよ。」

優太
「どっからどう見ても装甲車なんですが・・・。」

すみれ
「時間が無いです!!ユウタさん、カナデさん、女将さん!早く乗ってください!!」

優太
「おいおい、お前ら何者だよ・・・何で旅館の女将が装甲車何て持ってるの?」

女将
「そうさねーーー、そういう知り合いが居るから・・・かね~?」

優太
「そ、それにしては本格的ですね・・・。」

女将
「詮索は後にしな!とりあえずコレでかすみを追うよ!」


「そう言えば場所はもう分かってると言っていたが・・・」

女将
「ああ、データはもう入ってるはずだ。すみれ、開いておくれ。」

すみれ
「はい。」



すみれは装甲車に取り付けられていたキーボードを操作する。
するとスミレの目の前にあるモニターに訳の分からない英単語の羅列が無造作に並び始める。
それが画面一杯に広がると同時にモニターに地図の様な物が浮かぶ。


女将
「やはりね。アイツの情報道理だ。『天統べる煌星』の奴らが発信機を逃走車へ事前に付けていたみたいだね。」

すみれ
「この位置・・・確か、『凄然の風』の拠点がある場所では?」

女将
「なるほど・・・つまりバックに居たのは奴らか・・・。それなら色々と辻褄が合うね。」

優太
「どういうことだ?」

女将
「どうやら今回の人攫いだが、『ギルド』の連中の仕業みたいだね。」

優太
「!??『ギルド』って言うのはそういうことまでするのか!?」

女将
「いや、しないよ。若い女だけを集めているって言うのにも何か引っかかる物がある。下手をすると裏で『取引』を行っているかも知れないね。」


「・・・人身売買って奴か?」

女将
「考えたくないがね。女ってのはどこでも入用だからね・・・かなり高額で『取引』できるだろうよ・・・。」

優太
「話がまるでおっつかないけど・・・その人攫いをしてるのは同じ『ギルド』の連中で、下手すると攫った女の人達をお金でやりとりしてるってことか?」

女将
「そうなるかもね。とりあえず『凄然の風』の連中が怪しいのはもうハッキリした。あとでアルの奴にも相談しておくよ。」


「!?アルって・・・もしかしてアルヴィス・S・フォークハートのことか?何でそんな大人物と知り合いなんだ・・・?」

女将
「一応私も『ギルド』の一員でね。そのコネみたいなものさ。」


「コネ程度で知り合える奴じゃないぞ・・・ホントに何者なんだ、アンタら・・・。」

女将
「しがない旅館の女将だよ。」

優太
「・・・何が何だか分かんないんだけど、奏・・・詮索は後にしようぜ。そういうのはメンドイので考えない。準備が出来てるならそろそろ行こうぜ。」

女将
「そうだね。すみれ、機関最大!全力前進!!」

すみれ
「はい!」



ブロォォォン!!!


優太
「ん?何だかもの凄く力強い音ですね・・・」

女将
「しっかり掴まってないと危ないよ?」

優太
「え?」



ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオンンンン!!!!!


次の瞬間、爆音をカン鳴らしながら装甲車がコンテナから駆け抜ける。
目の前の門を抜け、左に曲がる。
ほぼ減速無しでカーブしたため、もの凄い遠心力が体にかかる。
優太は必死にシートに掴まりながら叫ぶ。


優太
「すいません!!着く前に事故死とか勘弁何で安全運転でお願いできませんでしょうか!!??」

すみれ
「大丈夫です!!私これでもゴールド免許持ってますから!!」

優太
「そういう問題じゃないんだけどおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

女将
「さあ、行くよ!!すみれ!遠慮せずにカッ飛ばしな!!責任は私が持つ!!」

すみれ
「了解しました!!」

優太
「了解すんなよぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!」



装甲車はさらに加速し、南門を駆け抜ける。
後ろから憲兵が怒鳴っているようだがそんなの聞えなかった。
て言うか聞いてる余裕が無かった。
今はどう考えても自分の身の安全が第一だったからだ・・・


優太
「ああ・・・何か知らないうちに話は大きくなるし、イキナリ暴走車に乗せられるし・・・一体全体何がどうなってんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」









第五話「潜入と出会い。。」






アラド
「で、潜入したは良いけど・・・これからどうすんの?」

メダ
「とりあえず気付かれないように攫われた民間人を探してみるか・・・。」

ネロ
「その前にセキュリティを突破する方法を考えた方が良いんじゃないかしら?」

ゼオラ
「あ、それは私も思った。ここ、結構セキュリティしっかりしてるもんね。下手するとそういう人達を集めてある場所にはそれ相応のセキュリティーがなされていると考えるのが妥当だと思う。」

メダ
「そうだな・・・ならそういうセキュリティを統合管理している場所・・・を探すのが先か。」

アラド
「でもどうやって探すんだよ。結構この施設広いぞ・・・あの戦団こんなに大型の施設を所有できるほど金持ってる訳無いもんな・・・ってことはやっぱり攫った人たちを・・・」

ネロ
「売買してる可能性大ね。この施設のセキュリティレベル、規模・・・『凄然の風』が去年までに受け持った仕事量と合致しないもの。」

ゼオラ
「あーーーもーーー、同じ女としてそういうの許せないなーーー!て言うか人として許せない!」

アラド
「あ、そういえばお前女だったっけ?忘れてた。」

ゼオラ
「まずテメェの首から落としてあげてもいいんだよぉ?ア・ラ・ド?」

メダ
「冗談も大概にしておけ。そろそろ行くぞ・・・こっちだ。」

アラド
「はいはいそうだね~。じゃあ、適当に探してみますか。」

メダ
「ん?適当じゃないぞ。こっちに管制室があるとそこの地図に書いてあったからな!」

アラド
「地図なんてあんのかよ!!つかそんなの設置しなきゃならないくらいみんな迷いやすいのかよ!色んな意味で新設設計だな!!!」







女将
「そう言えば・・・すみれ、弾薬やらはちゃんと積んであるのかい?」

すみれ
「はい、一応確認はしました。徹甲弾各種、焼夷榴弾各種、持てるだけ積んであるのを確認してあります。」

優太
「そ、そんなものまで積んであるのか?ほとんど戦車じゃねぇか・・・」

女将
「ふふっ、私が直々にカスタムした装甲車だからね。調度新兵器を開発したところでね、それのデータを取るついでにかすみ達を救出しようじゃないか。」

優太
「ついでなのかよ・・・はぁ、まあいいけどもうちょっと従業員には優しくした方が良いんじゃねぇの?辞められてもたまったもんじゃないだろうに・・・。」

女将
「かすみは辞めたりしないよ。と言うか辞めさせないよ。私の娘なんだから旅館仕事くらいできてもらわないと困るからね。」

優太
「ああ、はいはいそうですか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、娘!!!!???

女将
「ん?すみれ、話して無かったのかい?」

すみれ
「はい。あとで良いと思いましたので・・・」


「なるほど、どうりで感じが多少なりとも似てると思った。」

優太
「そうだったかな!?そんな描写一片たりとも無かった気がしますけども!!」

女将
「まあ、何でもいいじゃないか。すみれ、あとどれくらいだい?」

すみれ
「何事も無ければ10分もあれば門が見えてくると思いますけど!」

女将
「よし、ならニトロでもなんでも使ってブッ飛ばしな!!」

優太
「いや、だから何でそんな無茶苦茶なカスタムがされてんだよ!!ニトロバ○クのやりすぎだよ自重しろよ!!」








雑魚A
「おい、出ろ。」

???
「・・・。」

雑魚A
「お前の買い手が決まったぞ。ま、買い手はあの博士様だがな・・・せいぜい可愛がってもらうんだな・・・。」

???
「・・・。」

雑魚A
「嬉しすぎて声も出ないみたいだな。とりあえずコッチに来い。」

??
「鮭。」

???
「け、け?け・・・ケツァルコアトル!!」

??
「ルーマニア。」

???
「あ、あ、・・・アポカリプス!!」

??
「スヌー○ー」

???
「え?それは『ぴ』?『い』?」

??
「お好きな方でどうぞ。」

???
「えっとそれじゃあ・・・インフィニットジャスティ・・・!」

雑魚A
「キサマら五月蠅いぞ!!!静かにしてろ!」



ガシャン!!と男は鉄格子を蹴る。
片方の着物を着た少女は驚いて黙ってしまったが、もう片方の少女は男を見据えて話しかける。


??
「すいません、トイレとかないんですか?」

雑魚A
「そこら辺でしろ。」

??
「やだ!この人そういう趣味の人みたいだよ!!私達が出した物のニオイを嗅いで興奮するって!!」

雑魚A
「言ってないだろそんなこと!!とにかく、静かにしてろ!!今更泣き叫んでもどうにもならないからな。」

??
「待ってれば出してくれるの?その娘みたいに?」

雑魚A
「ああ、買い手がつけばコイツみたいに出してやるよ。買い手がつかなくても娼館に売りつければいいから別段問題も無い。どっちみちオレ達は懐が温まる・・・。」

??
「こんなこと続けて、バレないとでも思ってるの?」

雑魚A
「それはオレみたいな雑魚が考えることじゃねぇのさ。そういうことは全部、団長殿に任せておけばいい。」

??
「ふ~~~ん、そんなんだから一生雑魚なんじゃないの?」

雑魚A
「口の聞き方には気をつけろよ?オレはお前の命も握ってるんだぜ?お前だって気付いてるんだろ?魔法が使えなくなってることに・・・。」

??
「・・・。」

雑魚A
「その手錠は特別性でな。それをハメられている奴は自由に魔力を練られなくなるんだ。それはつまり、お前はオレに抵抗が出来ないってことなんだぜ?」

??
「商品に傷をつけていいの?傷つけたら高値で売れなくなっちゃうよ?殺しちゃ元もこうも無いしね。」

雑魚A
「ぐっ・・・!ふ、ふん。今日の所は見逃してやる。次からは口の聞き方に気をつけろ!!いいな。ほら、行くぞ。」

???
「・・・。」

??
「ねぇ、あんた名前は?」

雑魚A
「オレか?オレは・・・」

??
「アンタじゃなくてそっちの女の方よ。」

???
「・・・どうしてそんなことを聞くんですか?」

??
「え、だって助けに行く時に名前が分かった方が探しやすいでしょ?名前を叫びながら探せばいいんだし。」

???
「・・・。」

雑魚A
「は、何を言ってるんだ・・・逃げられるつもりでいやがるのか。おめでたい頭してやがるな・・。」

??
「ねぇ、いいでしょ?教えてよ。」

???
「・・・ス。」

??
「え?」

エリス
「エリス・ラックフォード。あなたは?」

由紀
「由紀。霜月由紀、あ・・・癖で『外界』での名前が出ちゃったや。ま、いいか。覚えとくよエリス。必ず助けに行くからね。」

エリス
「・・・ん。」

雑魚A
「ふん、言ってろ。ほら、さっさと歩け!!」

エリス
「・・・。」

???
「ゆ、由紀ちゃん、ホントにあんなこと言って大丈夫なの?」

由紀
「大丈夫よ。言ったでしょ?優太がきっと来てくれるよ。そしたらエリスだけじゃなくてここに居る人達みんな解放してあげないとね!かすみもその時は誘導手伝ってよね。」

かすみ
「うぅ・・・何でこの状況でそこまでポジティブに考えられるのかな・・・私は不安で押しつぶされそうなのに・・・。」

由紀
「私だって不安だよ。でも、優太が来てくれるって信じてるから・・・だから大丈夫!」

かすみ
「そっちはじゃあ大丈夫ってことにしておくけど・・・心配なのはおねえちゃんだよ。」

由紀
「おねえさん?あ、そう言えば車に跳ね飛ばされてたわね。」

かすみ
「うん。大丈夫だと信じたいけど・・・もし、もしおねえちゃんが死んじゃってたらどうしようって・・・そればっかり考えちゃって、私・・・おねえちゃんが居ない生活なんて考えられないよ・・・。」

由紀
「おねえさんのこと、好きなんだね。」

かすみ
「うん。何時も私を一番怒るのはおねえちゃんだけど・・・私のこと、一番心配してくれてるのもおねえちゃんなんだ。」

由紀
「じゃあ、まずは生きてここから逃げ出さないとね!おねえさんにまた会うためにも!」

かすみ
「そうだよね、まずはここから出ることを考えないとだよね。うん、もう大丈夫。少しだけ元気でた!」

由紀
「うんうん。じゃあとりあえず用を足してから・・・」

かすみ
「ホントにトイレ行きたかったんだ!!そこは冗談とかじゃなかったんだね!!!」



ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


由紀
「!??」

かすみ
「な、なに!?」

由紀
「もしかして・・・」



由紀は鉄格子によって耳をすませる。
するとさっきの二人が歩いて行った方向から複数人の大声が響いてきた。


雑魚B
『どうしたんだ!?』
ガザC
『どうやら侵入者らしい!管制塔の方からも連絡が取れなくなってるとか・・・!』
雑魚D
『お前ら何してるんだ!!とっとと銃でも持って中庭に急げ!!侵入者の迎撃をするぞ!!あ、あとガザCはオレの部屋に来るように。』
雑魚B
『侵入者の数は!?』
雑魚D
『中庭に出たのは一人だ!だが、恐ろしいほどに強いらしい!!それ以外にも何人かの侵入を許しているみたいだが、詳しい人数は今の所分かっていない!あ、それとちゃんと風呂入ってから来いよガザC。』
ガザC
『さっきから雑魚D何を言ってるの!??部屋に連れ込んで何しようってんだよ!!て言うか何でオレだけ名前違うの!?アクシズの量産型MSみたいな名前なんだけど!!』
雑魚B,D
『『そんなことはどうでもいい!!!』』
ガザC
『ですよねーーーー。。』



由紀
「何だか侵入者が入ったって。」

かすみ
「嘘!?ユウタ君?」

由紀
「分かんないけど、兎に角逃げるなら今がチャンスかも・・・。」

かすみ
「え、でもどうやって逃げるの?」

由紀
「こうやって。」



グヴァァ!と言う表現しにくい奇怪な音が獄中に響く。
何故か由紀の目の前に不思議な空間が開いており、その周辺だけ景色が歪んで見える。
由紀はその穴に入る。
すると次の瞬間には鉄格子の外に出ていた。


かすみ
「え、え、え、えぇぇぇぇぇええええええええええええええ!!???」

由紀
「ほら、かすみも出てきなよ。大丈夫、空間は固定してあるから変な入り方さえしなければちゃんと出られるから。」

かすみ
「え、これ・・・なに?何がどうなってるの?」

由紀
「私の力の一部だよ。応用すればもっと凄いこともできるんだから。とりあえずソコ、出ちゃいなよ。」

かすみ
「う、うん。」



かすみは恐る恐るといった感じで空間の歪みに足を踏み込む。
入ってみるとそこには粒子の様な物が何重にも重なり合い、果てへ果てへ流れていく。そんな景色が視界を覆った。
目の前に光が見える。
そこへ向けて歩を進める。
そして片足を踏み込んだ時、景色が晴れ、かすみは鉄格子の外に立っていた。


かすみ
「あ、あれ・・・?」

由紀
「よし、じゃあまずはどこかで武器を調達しないとかな?」

かすみ
「由紀ちゃん、コレって一体どういうことなの?たしかこの手錠の所為で魔法は使えないんじゃあ・・・」

由紀
「ああ、コレ?コレは魔法じゃないの。私の先天的な能力みたいなものだから・・・。詳しことは説明できないんだけどね。」

かすみ
「そうなんだ・・・うん、じゃあ今は聞かないよ!今は逃げることに専念しよう!」

由紀
「ありがと。とりあえず・・・」



ドボォォォッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!!!!!!!!!!!!


凄まじい爆音が聞こえる。
かなり近い、砲弾でも飛んできたのかと思えるほど凄まじい音だった。


ドガャアアアアアアアアン!!!


その音に続いて通路の奥から壁を突き破るような音と同時に土煙が吹き込んでくる。
さっきの攻撃は施設の壁を壊すための物だったのかもしれない。
由紀は身構える。
土煙の向こうから誰かが近付いてくるのが分かったからだ。
由紀自身はそこまで戦闘能力が高い訳では無い。
だが、この状況で戦えるのは自分しか居ない。
呼吸を整え、土煙に向かって走る。
その向こうに居る誰かに向かって、右足を振り上げる。


バシッ!!!


寸での所でその足を止められる。
しまったと思ったが、がっちり掴まれているため振り解くことができない。
そして次の瞬間、通路の奥から風が吹き抜ける。
その風が土煙を晴らしていく。
土煙の先、由紀の攻撃を受け止めたていたのは・・・








第六話「突入。。」






メダ
「この騒ぎ・・・どういうことだ?ネロ、下手なことでもしたか?」

ネロ
「そんなわけないでしょ?私のハッキングは完璧よ!まあ、この管制塔からの定期連絡みたいなのが無くなって気付かれたのかもしれないけどね。」

メダ
「それもありえるが・・・むしろ下が騒がしくないか?」

アラド
「あっ!あれ見ろよ!中庭で誰かが戦ってるぜ!」

ゼオラ
「アレは・・・確か傭兵の、ガバルさん?だったかしら。」

メダ
「何故奴がここに?誰かに依頼でもされたのか・・・?」

ネロ
「そんな所かもしれないわね。もしかしたら応援かも。」

メダ
「あんなの応援に寄越せって言ったのか?」

ネロ
「いえ。私は普通に本部の方を通した。だから最終的には本部に依頼が張られるはず・・・それを見て駆け付けた、とか?」

アラド
「にしては早くないか?オレ達が潜入してからそんな経ってないぜ?」

ゼオラ
「確かに、この騒動が起こってからスグに応援要請を本部にしたけど・・・普通に考えたら手続きやら何やらで張られるのは最低でも数十分はかかるハズだものね・・・。」

メダ
「まさかとは思うが・・・団長と同じでどっかの誰かがこの件を嗅ぎまわっていて、その調査にアイツを使ってたと言う線は?」

ネロ
「それも可能性の一つね。それだったらこの異様な早さも説明がつく。でも、誰が?」

メダ
「さぁな。とにかく、この分じゃあセキュリティもクソも関係無くなっちまったな。」

ネロ
「じゃあ、侵入経路を確保するために正門でも開けときましょうか。ここから門は操作するみたいだしね。」

メダ
「そうだな。そうしておけ・・・。とりあえずもうここに用は無いな、あとは応援が来るまで・・・」



ドボォォォッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!!!!!!!!!!!!


メダ
「!!?何だ!?」

アラド
「・・・も、門が吹き飛んだ・・・。」

メダ
「何だと!?」



ドガャアアアアアアアアン!!!


メダ
「今度は何だ!?」

ゼオラ
「そ、装甲車が壁をぶち破って施設の中に入った・・・。」

メダ
「何だと!?」



メダは窓に駆け寄り状況を確認する。
調度この管制塔の隣の建物に突っ込んだらしく、装甲車が壁にめり込んでいるのが見える。
その装甲車には特徴的な紋章が所々に装飾されている。
その紋章は、桜の花を中心に多種多様な花が冠の様な物に乗っているというデザインだ。
しばらくアクセルを踏み込む音が響いていたが、数回音が反響したあと装甲車はつかえが取れたように壁の中へと消えていった。


メダ
「桜と華々の紋様・・・『華々の冠』だと?何故アイツらがこんな所に来る!?」

ネロ
「応援だったり?」

メダ
「アイツらは基本的にこういう応援依頼には首を突っ込んだりしない奴らだ・・・て言うかアイツら商業戦団だろ?何であんなゴツイ近代兵器を所持してるんだ!?」

ネロ
「あれ、知らないの?『華々の冠』って・・・」



ドンドン!!!


突如、管制室の入り口ドアを叩く音が響く。
一同は一斉にドアの方向へ体を向ける。


メダ
「どうやら定時連絡の話は本当にあったみたいだな・・・とりあえず目的は果たした。とりあえずここを離れるぞ。」

アラド
「どうやって?唯一の入り口は既に固められてると思うけど・・・」

ネロ
「それにここ五階よ?飛び降りるとかそういうのは無しでお願いしたいな~~。」

ゼオラ
「どうするの?メダ。」

メダ
「ま、強行突破しかないだろうな。」

アラド
「そうこなくっちゃな!!先頭はオレに任せろ・・・。」

ゼオラ
「二番は私が・・・。アラドのサポートもしなくちゃならないしね。」

メダ
「ネロが三番、オレが最後尾で行くぞ。」

ネロ
「で、どこを目指すの?このまま施設を脱出する?それとも・・・」

メダ
「あの装甲車の付近まで行って確認を取る。脱出はそれからでもいい。」

ネロアラドゼオラ
「「「了解!!」」」





数分前。。




すみれ
「女将!正門見えました!!」

女将
「そうかい。開いてるのかい?」

すみれ
「いえ、完全に閉じてます。」

女将
「ちっ、気が利かないねぇアイツは・・・しょうがない・・・」

優太
「止まって開けるしかないよな。オレに任せろ、体慣らしにぶち抜いて・・・」

女将
「はぁ?何言ってるんだい・・・正気かい?このまま突っ込むんだよ。」

優太
「ソッチが正気か!!?そんなことしたらこの装甲車がオシャンティするだろうが!!!」


「ん?オシャンティってそういう意味なのか?梓の奴はそういう意味で使っていたのか・・・よく分かんない言葉だな~~。」

女将
「だーれがこのまま突っ込むと言った?吹き飛ばせば済む話しだろ?すみれ、『墳進砲』用意、弾種徹甲・・・!!」

すみれ
「はい!上部ハッチ開けます!『墳進砲』用意、弾種徹甲!!」

優太
「え?なに?なにをどうするの?『墳進砲』?弾種?徹甲??」

女将
「撃ち方、用意・・・」

すみれ
「撃ち方、用意!」


「ユータ、悪いことは言わないから衝撃に備えた方がいいと思うぞ?」

優太
「は?何で??」

女将
「撃ち方、始め!!!」

すみれ
「撃ち方、始め!!!」



すみれは手元にある操作盤を器用に操作して最後にギアの横に備え付けてあったレバーを引く・・・
そして次の瞬間、優太の頭上からボヒュン!!!
と言う効果音が聴こえると同時に、


ドボォォォッォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!!!!!!!!!!!!!!


耳をつんざくような爆音が目の前から響いてくる。
何が何だか分からないがどうやら装甲車の上部からロケット砲の様な物を出してそれを撃ったらしい。
その威力は凄まじく、さっきまであった厚そうな門が跡形もなく吹き飛ばされている。
装甲車はその開いた空間に侵入する。
近くで戦闘をしていたらしい奴らがあまりの爆発に戦意を失っている。
その間を縫うようにしてすみれは装甲車を走らせる。


すみれ
「それで、どこに止まりますか!?」

女将
「入り口探すのもメンドクサイからあそこら辺に装甲車ごとぶつけな。そうしたら侵入もできるし。」

すみれ
「はい!」

優太
「えぇええええええええええええええええええええええええ!!?どっちみち!!?」


「もう、どうにでもなれーーーー・・・。」

優太
「奏、諦めるな!!おい、女将!さっきの『墳進砲』であの壁をぶち抜けばいいだけの話だろ!わざわざぶつけなくても・・・!!」

女将
「ああ、無理無理。『墳進砲』はまだ試作段階の兵器だから・・・連射は無理。弾は手で補給しないとならないんだよ。それとも今から外に飛び出て手動装填してくれるのかい?」

優太
「はーーーい、わかりましたーーー。もう何でもいいんで死なない程度に手加減してぶつけてくださーーーい。」

すみれ
「フロントに魔法障壁全力展開!皆さん、耐ショック態勢をとってください!!」



ドガャアアアアアアアアン!!!


減速無しのノーブレーキ状態で壁に装甲車がぶち当たる。
壁の固さは大したことが無かったのかあっさり砕けた。
が、やはりスッポリ入るほどの大きさは開かず、途中で装甲車がつかえてしまう。
しかし、すみれは力強くアクセルを踏み続ける。
ものの数秒、アクセルの音が響き壁を抜ける。
装甲車が施設内に全部入った辺りですみれはやっとブレーキを力一杯踏み込む。
急ブレーキだったため、かなり体をゆすられる。
完全に装甲車が止まったのを確認し、女将は席から立ち上がる。
そして何事も無かったかのように装甲車の戸を開けて外に踊りでる。
優太はかなり頭が揺れており、フラフラしながらもようやく車内から出ることができた。
奏も流石にまいったのか結構フラフラだ。


女将
「さて、ここからは別行動にするよ。私は外に行く。」

優太
「は?何で??」

女将
「ちょいと思うことがある。中は任せていいかい?」

優太
「任せるも何もどこに何があるか分からねぇからな・・・どうするかなんて決められないんだが・・・」

女将
「ほら、そこの壁に案内が付いてる。見た感じ、収容施設はココみたいだから探せば知り合いや、かすみが居るはずだよ。」


「何でこんな所に案内が?どんだけみんなして物覚えが悪いんだよ。」

すみれ
「女将、私もユウタさん達に付いて行ってよろしいですか?かすみが心配なので・・・」

女将
「私のことは気にしなくていいよ。行ってきな。」色

すみれ
「はい、ありがとうございます!」

女将
「それじゃあ、またここで再開しようじゃないか。気をつけるんだよ!」



そう言うと女将はさっき突き破った壁の穴を通って外に歩いていく。
今更ながら丸腰で女の人を行かせたのはどうかと思いつつも、優太は案内板に目を向ける。
確かに案内版にはこの建物が収容施設ってことが書かれている。
どうやら調度、向かいにある通路を進めば収容区画に出られるらしい。


優太
「兎に角、行ってみるか。どうやら向こうに行けば収容区画に出るらしい。」


「しかし酷い土煙だな・・・私あんな中行くのやだぞ・・・」

優太
「はぁ?ここまで来てそれですか・・・じゃあ、どうしろってんだよ。」


「私は晴れるまで待ってる。先にユータが見てくる。おk?」

優太
「おk。って言うかアホんだら・・・」

すみれ
「じゃあ、じゃんけんで決めませんか?負けた人が先に行く。」

優太
「え、何で?もしかして、すみれも行きたくないの?」

すみれ
「最初はグー・・・!」

優太
「無視!??オレの質問無視!!?嫌なんだ!砂煙の中歩きたくないんだ!!まあ、女の子だもんね!汚れるのやだよね!!でもね、そういうのはできればハッキリ言って欲しかったな!!!」


「じゃんけん、ポン!!」

優太
「あ・・・。」


「よし!勝った!!」

すみれ
「ふぅ~、良かったです。」

優太
「はいはい、分かりましたよーーー。行けば良いんでしょ行けばーーー。」


「死んでも骨くらいは拾ってやるから安心しろーーー!!」

優太
「不吉なこと言ってんじゃねぇーーーーーーーよ!!!」





そして現在。。




由紀
「あ、あれ?ゆ、優太?」

優太
「ん?ああ、由紀か。ビックリさせんなよ。」



優太は掴んでいた足を離す。
由紀は優太を確認するとホッとしたように顔をほころばせた。
見た感じ、怪我とかはしていないようで優太も安心した。


優太
「ま、何はともあれ無事でなにより・・・。かすみは?」

かすみ
「ユウタ君!ホントに来てくれた・・・。」

由紀
「ね?だから言ったでしょ。優太は絶対来てくれるって!」

優太
「ここら辺にはお前らしか掴まってないのか?」

由紀
「うーーーん、そうみたいだけど・・・あ、そうだ!さっき一人連れていかれたんだ!!助けに行かなくちゃ!!」

優太
「そうなのか?うーーーん、まあ乗りかかった船だし・・・ついでだし助けに行くか。」

由紀
「優太ならそう言ってくれると思ったよ!確か・・・優太が来た方に連れてかれてたような・・・。」

優太
「そうか。じゃあ、一旦戻ろう。奏やすみれも来てるんだ。合流して今後のことを検討しようぜ。」

かすみ
「え、おね・・・すみれちゃん無事なの!??」

優太
「ああ。蓮・・・オレの友達が上手いこと居合わせてくれてな。どうにか一命を取り留めて、ここまで一緒に来たんだ。」

かすみ
「そうなんだ・・・わ、私先に行くね!」

優太
「ああ。行って無事な所見せてやれ。」

かすみ
「うん!」

由紀
「それにしても思ったより早かったね。」

優太
「ああ、上手いことに乗り継ぎがよくてな。」

由紀
「奏ちゃん以外には誰か来てるの?」

優太
「いや、蓮は治癒で魔力を使いすぎたみたいで置いてきた。唯も愛依もこう言うことには向かないから同じく残ってもらったよ。」

由紀
「あ、鳳仙や千草とは合流できなかったの?」

優太
「アイツら一足早く仕事に行っちまったみたいでさ・・・。今頃はどっかでモンスターハンターしてるんじゃないか?」

由紀
「ああ、多分そうだよ。二人とも目を輝かせながら本部に向かってったもん。」

??
「おい、ちょっと待て!!」

優太
「ん?」

??
「ん、キサマ・・・さっきの・・・?」

優太
「お前は・・・メダ、とか言ったっけ?」

メダ
「キサマ、何故こんな所に居る?」

優太
「見て分かんないのか?仲間を、家族を助けに来たんだよ。」

メダ
「任せろとオレは言ったと思ったんだが・・・聞こえて無かったのか?」

優太
「何で今日会った奴に家族の救出を任せないとならないんだよ。」

メダ
「なんだと?お前、それはつまりオレ達が信じられないって言うのか?」

優太
「平たく言えばそうなるかもしれないな。」

メダ
「お前、それはオレ達に対する侮辱だぞ・・・訂正しろ。」

優太
「いいよ?その代り、お前が謝ったらな。オレはまだ由紀が連れ去られる所に居合わせておきながら助けなかったお前たちを許して無いぞ?」

メダ
「だから、アレは仕方がないと説明しただろ・・・。」

優太
「テメェの都合なんざこっちは知ったこっちゃねぇんだよ。」

由紀
「ま、まあまあ優太落ち着いてよ。別に私何とも無いしさ・・・。」

ネロ
「メダ、貴方も落ち着きなさいよ。大人げないわよ?」

優太メダ
「「ウルセェ!!男同士の問題に口出しすんな!!!」」

由紀ネロ
「「だから落ち着けって言ってんのが聞えねぇのか!!!!!!この○○○野郎!!!!!」」

優太メダ
「「す、すいませんでした・・・Orz」」

アラド
「何かあの二人少し似てねぇ?」

ゼオラ
「うん。何て言うかどっちも尻に敷かれるタイプだよね。」









第七話「共同戦線。。」






優太
「民間人救出作戦?」

メダ
「そうだ。折角ここまで潜入できてるんだ。応援が来る前にある程度の民間人を救出しておいた方が良いと思う。」

アラド
「でもその民間人だけど、どこに収容されてるんだ?収容区画には由紀ちゃんとかすみちゃんしか居なかったんだろ?」

ネロ
「そうみたいね。もしかしたら別の場所に既に運ばれた後だったのかも?」

ゼオラ
「そうなるとどこを探したらいいのか分からないのが困った所よね・・・。」


「・・・・・・・・・・。て言うかさ、コイツら誰?」

優太
「え?ああ、短期君とその一行だよ。」

メダ
「おいキサマ・・・それはオレのことじゃないだろうな?」

優太
「えぇ?そんなこと微塵も言ってませんのことよ~~?被害妄想も甚だしいですよ短期君。」

メダ
「テメェ今完全にオレに向かって言いやがったな・・・!!上等だ、表出ろ!!」

優太
「あれぇ?なになに?意外と口より先に手が出るタイプぅ~?嫌だなぁーーー、オレはそういうの苦手なんだよねーーー。お前みたいな野蛮人と違って・・・。」

メダ
「どの口が言ったんだ?えぇ?そろそろオレも本気でキレていい所だよなぁ?オイ・・・。」

優太
「いいですよ?相手になってやろうじゃねぇかよ。お前如き、右手一本で十分だぜ・・・」

メダ
「抜かせ・・・オレは利き手じゃない右手で、尚且つこの人差し指一本で相手になってやるよ・・・」

優太
「あれぇ~?いいよー、そういうハンデ的な物要らないよーー。あとで負けた理由に出されても困るからな~~~。」

メダ
「じゃあ、テメェも右手一本なんてちゃちなこと言ってねぇで全開でこいよ・・・まぁ、それでも5秒で沈めてやるがな。」

優太
「だったらオレは4秒で昇天させてやるよ。」

メダ
「・・・・・・・」

優太
「・・・・・・・」

優太メダ
「「上等だぁぁぁああああああああああああああ!!!!!ここで沈めてやらぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」」

ネロ
「私は戦団『天統べる煌星』のネロ・シーバス。あそこで子供顔負けな喧嘩を繰り広げてるのがウチの副団長のメダ・カーチスよ。」

アラド
「オレはアラド・バルカン。ただいま彼女募集中なんだけど、どうかな?オレと一緒に今夜辺り『メルクドティードゥ』で一杯・・・」


「ウゼェ・・・。」

アラド
「ふ、まあ・・・幼女はオレの趣味じゃないからな・・・べ、別に悲しくなんて、ないんだからな!!!」

ゼオラ
「なに言ってんのよバカアラド・・・。私はゼオラ・ファルス。一応このバカのパートナーってことになってるわ。」

アラド
「バカとはなんだよこの男女・・・。」

ゼオラ
「あぁ?聞えてんぞアラド・・・誰が男女よ!!私はれっきとしたお・ん・な・の・こ!!!!」

アラド
「は・・・っ!その乱暴な口ぶりで良く言うぜ・・・。」

ゼオラ
「だ・れ・が煽ったからだぁ?ねぇ、ちょっと最近色々溜まっててさぁ・・・発散するの付き合ってくれない?アァラドォ~?」

アラド
「あぁ?他に言えよ。オレはお前みたいな乱暴でガサツな女タイプじゃねぇし・・・。」

ゼオラ
「私だってアンタみたいなちゃらんぽらんなダメ男が一番嫌いよ!!!」

ネロ
「あらあらまあまあ・・・みんな仲良しよね~~~。」

すみれ
「あ、あのぉ・・・止めなくていいんですか?」

ネロ
「メンドイからいいんじゃないかしら?」

かすみ
「スンゴイ適当!!!いいのかなそんなんで!!!」

由紀
「それより、私その民間人の人達が連れて行かれた所って言うのに心当たりがあるんだけど・・・」

メダ
「本当か!!?どこ・・・グバッ!!!?」

優太
「あ、わりぃ・・・。つい・・・。全く真剣勝負中に余所見するからだぜ・・・。」

メダ
「ぐ・・・グググ・・・!!!ま、まあいい。覚えてろよ、優太。あとで必ずこの一発の借りを返す・・・!!」

優太
「はっ、どっからでもかかって来いっての・・・。で、由紀。どこに連れてかれたって?」

由紀
「モブ男の会話を聞いた限りだと、多分ね。ココじゃないかな・・・。」



由紀は目の前の地図の一点を指し示す。
そこには「搬送場」と書かれていた。
ここからだと二、三建物を移動した先だ。


ネロ
「なるほど・・・『搬送』ねぇ。ますます『人身売買』が濃厚ね。」

アラド
「でも何でここだって特定できんだ?他にも怪しそうな名前の場所はいくらでも・・・」

ゼオラ
「アンタ本当にバカね・・・。犬畜生にも劣るわ。」

アラド
「じゃあゼオラは分かるってのかよ!!」

ゼオラ
「つまり連れ去られた人達はもう買い手が決まっているからこの『搬送場』からその買い手の元へ搬送するつもりじゃないかって読んでる訳よ。」

アラド
「あっ!!そういうことか・・・ゼオラ頭良いな!」

ゼオラ
「べ、別に・・・褒めたって何も出ないんだから・・・バカアラド。」


「とりあえずココに向かう訳か?だったら二班に分けた方が良いな。」

メダ
「いや、三班だ。」

優太
「なんでそんなに分ける必要があるんだ?ていうか何故に班分けするんだ?」


「私は単純にここから車を守っている班、その『搬送場』へ向かう班を分ければいいと思ってたが・・・もう一班は?」

メダ
「もう一班はオレ達の車を運んでくる班。まあ、必然的にアラドとゼオラになるな。オレは『搬送場』へ向かう。」

ネロ
「なら私も付いて行くわよ。」

由紀
「優太、私と一緒に『搬送場』に行ってくれないかな?」

優太
「え、なんでだ?」

由紀
「ちょっと野暮用で・・・助けに行くって約束しちゃった娘が居てね・・・。」

優太
「何だそんな事か・・・なら行くしかねぇだろ。その娘、必ず助けようぜ!」

由紀
「うん!」

すみれ
「私とかすみはこの車で待機しています。連絡があればスグに駆けつけますので・・・コレが連絡先です。」

優太
「え、コッチの世界って携帯通じないんじゃ・・・」

かすみ
「あ、ユウタ君は今日が初めてだから持って無いんだ。はい、コレ。」

優太
「これは?」

かすみ
「それを携帯に付けておけばこっちの世界でも通話ができるんだよ。えっと名前は確か・・・『電話メチャクチャ繋がるちゃん』だったかな!」

優太
「なにそのピンポイントな名前・・・。まあ何でもいいけども・・・。」


「じゃあ、私はここで二人を護衛することにする。(ま、ホントは動くのがメンドイだけなんだけどな。)」

由紀
「奏ちゃん一人で大丈夫?」


「なぁに、私を誰だと思ってるのさ。心配しなくてもこれくらいの護衛、楽勝。」

アラド
「メダ、具体的にオレ達は車をどうすればいいんだ?」

メダ
「とりあえず車内で待機、連絡があるまでかならず車を死守しろ。」

ゼオラ
「了解!メダにネロ、二人とも気をつけてね!」

ネロ
「ええ、そっちもね。」

メダ
「おい優太・・・付いて来れるんだろうな?」

優太
「誰に物言ってるんだよ・・・。」

メダ
「ふん、その生意気な口が何時まで続くのやら・・・。」







千草
「・・・・・・ねえ鳳仙。」

鳳仙
「ん?なに?」

千草
「あの建物なんだろ。」

鳳仙
「はぁ?うーーーん。なんだろうな。」

千草
「調度依頼も全部片付いたし・・・ちょっと覗きに行ってみる?」

鳳仙
「え、何で。早く帰って次の依頼受けるんじゃ・・・。」

千草
「なんかさ、向こうの方が楽しそうじゃない?」

鳳仙
「えーーー・・・・・・・・。あ、確かに・・・。何だかたくさんの人達が魔力をぶつけ合ってる。」

千草
「それにさ、なーーーんかあそこからユウ君の魔力を感じるんだじぇ?」

鳳仙
「マジで?何でダンナがあんな所に・・・。兎に角行ってみるか!!」

千草
「よし、そうと決まれば善は急げってね!!!」







????
「さ、て・・・そろそろ応援に行ってやるとするかな・・・。おい、ありったけの車を用意してメダ達が向かった施設へ殴り込むぞ。」

雑魚A
「了解しました!!スコール団長!!!」

スコール
「おう、早めに準備は済ませろよ。あ、あと本部に一応連絡入れとけ。」

雑魚A
「はっ!!」

スコール
「しかしあのメダが先行するとはな・・・ふふふ、ちょっとはオレ好みの性格になってきたかな。アイツは固くてイケねぇからな・・・。」

?????
「何時もながら随分とアイツにご執心みたいじゃの。」

スコール
「アル・・・居たのかよ。」

アルヴィス
「ああ、つい今しがた着いた所じゃよ。どこに行くんじゃ?」

スコール
「例の一件の首謀者が居ると思われる施設に殴り込む。メダが先行してくれてるみたいだしな。」

アルヴィス
「メダ・・・ダリウスの忘れ形見も大きくなったもんじゃのう。」

スコール
「寄せよ。あの人の分もオレやアンタがこの時代を切り拓いて行こうって誓ったじゃねぇか。」

アルヴィス
「ふん、新しい時代を切り拓くのは老人ではないじゃろう。ああいう、若い連中の仕事よのう。」

スコール
「それじゃあ、その若造共を助けに行くとするか。」

アルヴィス
「いいのう、その話乗ろう。たまにはボケ防止に体を動かしたかった所よ・・・。」

スコール
「それじゃあよろしくお願いするぜ。首領。」

アルヴィス
「ふむ、『白銀の剣聖』の戦・・・若造にみせてやろうかのう。」







女将
「よう、首尾はどうだい?」

ガバル
「巴・・・。」

女将
「は?誰だいそれ。」

ガバル
「あ、いや。草壁か・・・。」

女将
「アンタねぇ・・・先に潜入したなら正門を開けるくらいの気を使ってくれたっていいんじゃないかい?」

ガバル
「む、それは失念だった。オレも雑魚を相手取るのに必死だったのでな。」

女将
「新兵器の『墳進砲』を搭載してきてよかったよ。でもやっぱり連射が出来ないのがキツイね。それに予想よりも破壊力が鈍い。もっと威力を上げられるような細工を考えないとね。」

ガバル
「さっきのアレだが・・・榴弾か?スゴイ炸裂だったな・・・またマイナーチェンジしたのか?」

女将
「いや・・・徹甲弾だよ?」

ガバル
「???徹甲弾なら貫通するだろ・・・。爆発したから榴弾だとばかり思ってたが・・・。」

女将
「あれ・・・・・・・・??」

ガバル
「もしかして・・・その違いが分かってないのか?」

女将
「(あれ・・・?私は確か『弾種徹甲』って言ったはずだねぇ・・・ってことは、空気を読んですみれが勝手に弾種を変更した?いやいや・・・手動装填なんだからそんなの無理だし・・・)」

ガバル
「なにをぶつくさ言ってるんだ・・・?」

女将
「あ!!確かアレは最近開発した『徹甲榴弾』って言う新弾で・・・!!」

ガバル
「貫通して、爆発するって・・・何か無茶苦茶じゃないか?」

女将
「う、うっさいねぇ!!ちょっと間違っちゃっただけだよ!!イチイチマジレスするんじゃないよ!!!」

ガバル
「それならそうと素直に言え・・・しかし一発であの威力なら、複数の砲弾を一度に飛ばせるようになればさらに威力は上がるだろうな。」

女将
「一度に複数・・・それだ!!多連装式にして一斉に何十発も放てれば・・・!!さらに自動装填式に改良できればもっといいんだが・・・それだと構造的に脆くなりそうだねぇ。」

ガバル
「・・・草壁、思案中悪いがまた敵が湧いてきたぞ。」

女将
「ん、そうなのかい?とりあえず私も少しばかりだが、加勢してやるかね。」

ガバル
「無理しなくてもいいぞ。」

女将
「誰に言ってんだい。」

ガバル
「お前に言ったつもりだったんだが・・・」

女将
「要らん世話感謝するよ。でもま、アタシのことより自分の心配をした方が良いよ。」

ガバル
「ふ・・・。そうだな、お前はそういう奴だったな。遅れるなよ、草壁!」

女将
「そっちこそ、アタシの前だからって良いカッコしようとしてポカするんじゃないよ!!!」







優太
「ん、おい・・・何か群がって来てねぇか?」

メダ
「そうだな。」



目の前の広間に目視で確認するだけでも数十人の武装した兵が群がっている。
銃を持っている数人がこちらに銃口を向けている。
優太は腰にさげてある日本刀に手をかける。
メダも両手を開いたり閉じたりしている。
鳳仙と同じ、徒手空拳で戦うタイプなのだろうか。


優太
「あれじゃあ簡単に進めなさそうだな。まあ、オレなら問題無いけど。」

メダ
「ふん、弱い犬ほどよく吠えると言う。」

優太
「お前さ、なんなのさっきから・・・オレは別に喧嘩したい訳じゃないんだぜ?」

メダ
「スマンスマン。ついつい頭の悪い奴と話してるとオレの発言全てがそういう風に聞こえてしまいがちなんだよ。これからは気をつけるよ。」

優太
「・・・・・。」

メダ
「・・・・・。」

優太
「調度良いからさ、ここらで一発どっちが強いのか格付けしとく必要があると思うんだよ。」

メダ
「なるほど・・・それは一理あるな。負けた方はもう二度と生意気な口を聞かないでどうだ?」

優太
「いいよーーー。どうせ勝つのオレだし。」

メダ
「言ってろ・・・勝負の方法は・・・?」

優太
「あそこの奴らを一人でも多く倒した方がってのはどうだ?」

メダ
「いいぜ乗った!!んじゃ、よいドン!!!」



言うが早く、メダは一気に通路を駆け抜け広間に躍り出る。
驚いたのは敵もそうだが優太もだ。
広間まではまだ百メートル近く距離がある。
その距離をメダは一呼吸で駆け抜けていった。
一体どんな技を使ったのか。
しかし優太も悠長に考えている暇は無かった。
足に魔力を練り込み、地面を蹴る。
瞬間的に自分の運動能力を超えて走ることができるのだが、メダのさっきの速さにはまるで敵っていない。
遅れて広間に出た時にはメダが既に数名を伸して居る所だった。


メダ
「はっ!遅かったな・・・この分じゃあ、お前の出番はないぜ!!」

優太
「て、テメェ卑怯だぞ!!もっと正々堂々と戦え!!何ださっきの合図は!!あんなの反則だろ!!!?」

メダ
「負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇよ。」



メダは眼前から迫る数人の兵へ目を向けるとまたも一呼吸でその距離を詰める。
唖然としている兵に向かってメダは下から拳を振り上げる。
その一撃が一人の顎を撃ち抜き、体を浮かせる。
その浮いた兵の胸蔵を掴み、後ろで銃口を向けていた二人組に投げつける。
平気で味方に向かって撃つほどの連中では無かったようで、投げつけられた兵共々壁まで吹き飛ばされる。


メダ
「ここはもう既に戦場なんだぞ。そうやって正々堂々だの、反則だの・・・そういうキレイごと言ってる奴から死んでく世界なんだよ。」

優太
「・・・・・。」

メダ
「その覚悟も無いのにお前はここまで来たのか?」

優太
「そうだな・・・。お前の言うとうりだよ。」



優太は腰の日本刀を抜く。
そして誰が見ても分かるくらい濃い密度の魔力を刀身に纏わせる。
切っ先をメダに向ける。
そのまま優太は振り抜いた。
刀身から衝撃波となって剣戟がメダへ向けて飛ぶ。


ズバン!!!


そんな斬撃音が後ろから聞こえた。
振り向くとさっき吹き飛ばした連中の一人がこちらに銃口を向けてきていた。
改めてメダは優太の方を向く。
そして・・・


メダ
「覚悟はあるんだな?」

優太
「そんなのない。」

メダ
「ほぅ?」

優太
「ここに来たのは戦うためにじゃないんでな。ちょっとオレも思考回路がどうかしてたよ・・・。覚悟なんていらねぇ、とりあえず今は・・・テメェに勝つ!」

メダ
「やってみろ。」

由紀
「男ってさぁ・・・何でこんな回りくどい生き物なんだろうね。」

ネロ
「まあまあ、そう言わず。あの二人、結構気が合いそうだと思うんだけどな。」

メダ
「ネロ!!ツールの準備をしとけ!!!コイツにぎゃふんと言わせてやる!!!」

優太
「由紀!!『次元力』を練っとけ!!!コイツをぎゃふんと言わせてやる!!!」

由紀ネロ
「「はいはい、りょーかい。」」

メダ
「こっからがホントの勝負だ。準備はいいんだな?」

優太
「いつでも来いよ。捻りつぶしてやる!!」

由紀
「倒すのは敵だけにしてよねーーー。あと、優太無理しないでよーーー。」

ネロ
「メダもねーーー。」

優太メダ
「「分ーーーってるよ!!オレを誰だと思ってやがる!!!」」










第八話「陽動。。」






優太
「とりあえず体を温めることから始めるか・・・まだ全然『銀河力』が湧いてくる気配が無いからな・・・。」



優太は右手に持った日本刀『竜牙』に赤い色の魔力を込める。
すると刀身が燃えるような紅蓮の炎を纏う。


優太
『灼皇剣』・・・!」



周囲から飛びかかってくる敵目掛けて優太は『竜牙』を振るう。
目の前に居た三人を横一閃で吹き飛ばし、その回転を止めず後ろを振り向く。
タイミングを合わせるように後ろから一人踏み込んで来ていたのだ
その一撃を『竜牙』で受け止めつつ、魔力を足に込め相手の腹を思いきり蹴る。
鳩尾にモロに入った。
相手はその場に倒れこむ。
しかし、その敵の後ろからもう一人踏み込んで来ていた。
さらにそれに合わせるように周囲から一斉に敵が飛び込んでくる。


雑魚A
「くたばれぇぇぇ!!!」

優太
「・・・スコア稼ぎには調度良いか。」



優太は『竜牙』の切っ先を瞬時に下に向ける。
そしてそれを振り上げると、地面に向かって思いきり突き刺す。
すると優太を中心とした地面に半径6、7mくらいの大きさの赤い円が描かれる。
それと同時に地面から炎の柱が何本も噴出した。
その炎の柱は微妙に反っており、先端はかなり鋭く尖っている。
一見すると獣の牙のようだ。
炎の牙は優太の周囲を取り囲んでいた者の体を数箇所貫き、体の至る所を焼く。


優太
『二式・塵牙』・・・鳳仙の見よう見まねだが威力はオレの方が数段上だぜ。」

雑魚A
「ぐふっ!!あ、熱い・・・!!」

優太
「ああ、熱い?じゃあ、冷ましてやるよ。『氷皇剣』・・・」



刀身から炎が霧散して消える。
その後、今度は青い魔力が刀身を覆う。
すると刀身にドンドン霜が走り、最終的に刀身を氷が包み込む。
優太は火傷をしたと思われる敵全てに向かって『竜牙』を振る。
次の瞬間、『竜牙』が起こした剣風が吹き抜ける。


雑魚A
「うぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!こ、今度はさ、寒いいいいいいいいいいいいいいい!!!」

優太
「えぇ?我儘な奴らだなどっちがいいの?」

雑魚A
「で、できれば普通が良いです!!」

優太
「いや、それは流石に無理だわ。」

雑魚A
「で、ですよねーーー。。」





メダ
「うらぁぁああああああああああああああああ!!!」



メダは力任せに敵を一人掴むと敵の群がる方へぶん投げる。
するとドミノ倒しの要領で次々と敵が倒れていく。


雑魚B
「ひ、ひぃいいいいい!!人間を片手で軽々と投げられるってどんだけ力があるんだよ!!!」

メダ
「やっぱ今のじゃあ完全に落とせないか・・・ネロ!『ハンマーツール』を寄越せ!!」

ネロ
「寄越せ?」

メダ
「あ、すんません。『ハンマーツール』をお願いできませんでしょうか?」

ネロ
「よろしい。。」

メダ
「クソ・・・どっちが立場的に上なんだか分かんないぜ・・・。」

ネロ
「え?なにかぁ?」

メダ
「何でもないです!!」

ネロ
「ふふふ、冗談よ。メダ、あんまり手荒に使わないでね。」



ネロの手から投げられた小さなキーホルダーのような物がメダの頭上で巨大化する。
それは一対の大槌だった。
所々金属が露出しており、かなり重そうだ。
しかしこのハンマー、大きさがかなりの物だ。
メダの身長が大体180cm前後だとして、それの二回りも三回りも大きい。
そしてこのハンマーの柄部分にはその大きさに見合ったこれまた金属で出来た拳が付いている。
メダは落ちて来るハンマーの柄に付いている拳目掛けて自分の左拳を天に振り上げる。


メダ
『ハンマー・連結』(コネクト)!!!」



左手にその巨大な拳とハンマーが固定される。
メダはハンマーを振りかぶると正面に倒れ込んでいる敵の一団目掛けて振り抜く。
ハンマーは一人も取りこぼすことなく敵一団を吹き飛ばし、壁を突き破る。


メダ
「ふぅ・・・。」

ネロ
「メダーーーーー・・・。」

メダ
「え、何・・・かっ!!?」



振り返るといつの間にか後ろにピッタリと隙間無く張り付くようにして立つネロの姿が・・・
ネロは真っ直ぐ、そしてじっとりと目を細めつつ吐息もかかるような距離で語りかけてくる。


ネロ
「手荒に使わないでって言ったよねぇ?もしかして意味分かってなかった?これね、修理中でまだあんな風に使っちゃダメなんだよぉーーー?なーーーのーーーにーーーー・・・なぁんで壁とか吹き飛ばしたりするのかなぁーーーメダはーーー・・・。」

メダ
「い、いや!!近い!!近いです!ネロさん!!とりあえず離れろって!!!」

ネロ
「え、何か問題でもあるのかなぁ?」

メダ
「えぇ!?そ、そこでそういうこと言うのか!??」

ネロ
「なにをそんなに恥ずかしがってるの?別に今更これくらいで恥ずかしがるような関係だったっけ?私達・・・。」

メダ
「そ、そう言われると・・・すみませんでしたOrz」

ネロ
「まあ、今回は私も悪いからしょうがないとして・・・とりあえず、修理費はメダ持ちで。」

メダ
「えぇええええ!!」

ネロ
「何か?」

メダ
「もう好きなだけ口座から落としちゃってください・・・」

ネロ
「ホント!?メダ、あのね私前々から欲しい物があってね!」

メダ
「好きにすればぁ・・・もう何でもいいでーーーす。」



優太
「何か向こうエラク凄まじいやり取りしてないか・・・」

由紀
「仲良いんだね・・・羨ましい・・・」

優太
「え?」

由紀
「んーーー、なんでもないよーー。それより、何か敵さん完全にビビって向かって来なくなったね。」

優太
「ああ、まあ・・・アレ見せられちゃな・・・どんだけ力持ちなんだよ・・・。」

由紀
「あれ、素の力じゃないよね?肉体強化かな・・・。」

優太
「いや、それは分かるけど・・・オレの肉体強化と全然出力が違うぞ・・・」

由紀
「うーーーん。私もそっちは専門外だからなぁ・・・優太の得意な見よう見まねで真似すればいいんじゃないかな?」

優太
「簡単に言うなよ・・・。うーーーん、足に集めた魔力を一気に解放してる風に見えるけど・・・」

由紀
「一点に集めて爆発させてるってこと?」

優太
「何と言うか・・・ブースターの要領か?う~~む、分からん。実際にやってみないと・・・」

メダ
「おい、何か敵も戦意失ったみたいだし・・・この機に乗じて進むぞ。」

優太
「ああ、それもそうだな。」

メダ
「よし、なら行くぞ。」

優太
「メダ・・・。」

メダ
「あ?」

優太
「悪かったな。やっぱお前にはまだ敵わないわ。」

メダ
「まだってのが引っかかるが・・・。いいさ、気にするな。オレもちょっと気がたってたとは言え大人げなかった。」

優太
「その・・・改めてよろしく頼む。」

メダ
「ああ。」



そう言ってメダは手を差し出す。
それを受けて優太も手をだし、お互いの手を固く握りあう。


メダ
「飛ばすぞ。遅れんなよ!」

優太
「おう!」

ネロ
「一件落着だね~~~。やっぱり口だけじゃあ分かり合えなくても拳と拳で分かり合うのが男だよねーーー。。」

由紀
「ふふっ、あんまりそういうのどうかと思うけど・・・まるっ!と収まるならそれが一番だよね。」







エリス
「・・・?向こうの方が騒がしい様な・・・」

??
「おい、さっさと車両に乗れ!!」

エリス
「・・・。」

??
「この車両はこれで全員か?」

雑魚B
「ああ。『エリス・ラックフォード』、『アヤカ・ハース』・・・この二人で全員だ。」

??
「しかしあの博士もえげつないよなぁ。こんな若い・・・しかも結構な玉を軽々と実験材料にするって言うんだからな・・・勿体無いよなーーー。」

雑魚B
「なんならお前が買ったらどうだ?」

??
「一人頭1000万Gだろ?払えるかよそんな額・・・。」

雑魚B
「いや、話によるとこの二人・・・方や2000万、もう一方は2億の額を出したらしいぞ。」

??
「定価の倍だぁ!!?そいつは大儲けじゃねぇかよ!しかしあの博士がそこまでの額を出すなんて珍しいな。」

雑魚B
「誰にも渡したくなかったんだとよ。何でも、素質があるらしいぜ?」

??
「へぇーーー。だったら逆にもっとぼってやればよかったのにな。」

雑魚B
「いやいや、これでも結構ぼったらしいぞ?」

??
「ヒューー!!流石は我らが団長!!こりゃあ今月の給料が楽しみだな。。」

雑魚B
「そういや、今回の給料が出たら家族で旅行に行くって言ってたけ。」

??
「ああ。娘が楽しみにしててよ・・・。」

雑魚B
「ははっ!それはいい。たっぷり家族サービスしてくればいい。」

??
「でもさ、やっぱオレこういうの向いてねぇかもな。」

雑魚B
「は?」

??
「今日だって・・・アヤカって言ったけ?あの小さい方。」

雑魚B
「あ・・・そうか。娘さんと歳が近いんだな・・・。」

??
「まあな。こう言うことやってるといつも考えちまう・・・オレは何でこんなことしてるんだろうってな。」

雑魚B
「なんなら・・・今度主任に言って異動させてもらうか?」

??
「へへっ・・・ま、それも考えとくか。」



ピピピ!!


雑魚B
「はい。」
ガザC
『敵が「搬送場」に向かって移動している!!防衛網を張る!!各員は至急第3ブロ・・・グァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』



ブツッ!!


雑魚B
「敵だ!!途中で通信が切れて詳しくは分からないが・・・とりあえず第3ブロックというのは聞こえた!急ぐぞ!!タロウ!!」

木村
「ああ・・・行くか!!相手が誰でも、ここを守り通してみせるのがオレ達の仕事だからな!!!」





エリス
「・・・。」

???
「おねえちゃんだれ?」

エリス
「私?私は・・・エリスって言うの。貴女は?」

アヤカ
「アヤカ・・・。」

エリス
「アヤカ・・・。アヤカちゃんはどこから連れて来られたの?」

アヤカ
「分かんない。」

エリス
「え?」

アヤカ
「気が付いたら、このしせつにいたの・・・。ここにくる前のことも何にもおぼえてないの・・・。」

エリス
「・・・。」

アヤカ
「ねぇ、えりす・・・。」

エリス
「なに?」

アヤカ
「私・・・生きてる意味、あるのかな・・・。」

エリス
「!!?」







メダ
「あそこか・・・!」

ネロ
「そうみたい!!ん、待ってメダ!!誰か出てくる!!」

メダ
「!?」

木村
「何だ・・・まだ子供じゃないか・・・。だが、これも仕事だ・・・。悪く思うな。」



木村は手に持った銃をネロに向ける。
そしてためらいもなく、銃爪を引く。


ガァァン!!!


メダはネロの前に瞬時に移動すると拳に魔力を集める。
迫る弾丸の軌道を読み、拳を横に振る。


ガッ!!キィィイイン!!!


拳が弾丸を弾く。
が、その一瞬のうちに木村の姿も忽然と消えていることに気付く。
メダは周囲を確認する。
しかしその姿をどこにも確認することができない。


メダ
「どこだ!?どこに消えた?」

ネロ
「落ち着いてメダ!姿は消せても、気配までは消せてないはずよ!!」

メダ
「いや、気配も殺気も消してやがる・・・。結構普通に強い相手かも知れん。」

ネロ
「そうなの?じゃあ、どうする?」

メダ
「もちろん倒すさ。それがオレ達の仕事だろ?」

ネロ
「それもそうだったわね。じゃあ、メダ。サポートは任せて!ツール何時でもイケるよ!」

メダ
「よし、行くぜネロ!!オレ達の力を見せてやろうぜ!!」





木村はメダ達の頭上。
天井の柱の一本の影に隠れていた。
柱から下を窺がう。
確認できる人数は二人。
さっき弾丸を拳で弾くという力技をやってのけた少年一人と、その付添い人である少女が一人・・・。


木村
「(アレで全員か?妙に数が少ない気がするが・・・。)」



普通に考えても二人だけでココを攻めてくるはずがない。
二人がどれだけ強かったとしても結局は人である限り体力、魔力は無尽蔵には続かない。
必ず限界がくるものだ。
この施設には『凄然の風』の低レベル連中が多く配属されているとはいえ、その数は数千人を超える。
そんな人数を相手に二人で戦いを挑むなんて愚の骨頂だ。
それに見た所、戦えるのはあの男の方だけ。
もう片方はてんで戦いを分かっていない。
全身スキだらけだ。
ここから狙っても10発中10発当てられる自信がある。
が、その10発中あの男が気付いて弾く回数も10回だろう。


木村
「ま、単純に考えればこれは陽動だわな・・・。」



木村の考えはこうだ。
ワザと騒ぎを大きくしてその騒ぎの中心である自分たちに注意を引きつけ、別働隊が「搬送場」を襲撃する。
木村はポケットから無線機を取り出す。
この時間なら2号棟の奴らが仕事を始める時間だ。
この無線機は安物で、単体では電波をそこまで遠くまで飛ばせない。
だが管制塔を通せば、この施設内ならどにでも回線が繋がる。
管制塔に向けて電波を送るためボタンを押す。
すると、スグに2号棟に繋がる。


木村
「コチラ『搬送場』警備の木村太郎。敵が『搬送場』に向かっている。スグに何人かこっちに回してくれ。」

??
『はい、分かりました。スグにそちらに向かいます。』

木村
「うむ、たの・・・」



その言葉を紡ごうとした刹那。
背後から激しい衝撃を受ける。
それがスグに頭部を思いきり殴られたのだと気付く。
目の前がチラつき、景色が歪む。
定まらない目で後ろを振り向く。
そこにはさっきまで下に居たはずの男の姿があった。


木村
「な・・・お前、どうして・・・ここが?」

メダ
「通信を聴いてな。」

木村
「ば・・か、な・・・オレは、そんな・・・大きな声で通信した筈は・・・!」

メダ
「あーーー!あーーー!!聞こえますかーー?」



『あーーー!あーーー!!聞こえますかーー?』


木村
「!!?」



その声は自分の手元から聞こえてくる。
それは紛れもなく自分の無線機から響いてくる声だった。


木村
「なんで・・・どうして!?」

メダ
「管制塔を通したのが不味かったな。あそこは既に占拠済みだよ。あそこを通した通信は全部ウチのネロのパソコンにも通じるようになってる。」

木村
「・・・!!」

メダ
「ま、その回線をさっき手に入れた無線機で拾ったって話だ。今は寝といてくれよ。オレも人を殺したい訳じゃないし。」

木村
「お、お前・・・一体・・・!」

メダ
「オレはメダ。メダ・カーチス。戦団『天統べる煌星』の副団長だ。」

木村
「お、お前が・・・ダリウスの息子、だと・・・?」

メダ
「何だ、親父を知ってるのか・・・。」

木村
「は、知ってるさ・・・アイツとは随分と戦ったからな。歳はとりたくねぇな・・・お前みたいなガキに不意をつかれるなんてよ。」

メダ
「はっ、舐めんな。オレを誰だと思ってやがる・・・。ガキはガキでもそこらのガキとは牙の鋭さが段違だぜ?」

木村
「それも、そうだな・・・く、そ・・・春菜・・・。」

メダ
「落ちたか・・・。さ、て・・・・アイツ。上手くやってるかな。」



ピピピピ!!


メダ
「オレだ。ああ、うん。予定どうり頼む。ああ・・・任せた。」



ピッ!


メダ
「さてと・・・あとは応援が来るまで陽動をするとするか。」









第九話「救出戦。。」






優太
「・・・。」

由紀
「優太、どう?」

優太
「ああ、メダの奴上手くやってくれたみたいだ。敵を完全に分断してくれてる。」



優太達は『搬送場』に居た。
今は適当な車の陰に隠れながら様子を窺がっている。
『搬送場』内には護衛をしている人員は少ない。
メダとネロの二人の陽動は上手くいっているみたいだ。
元々メダ達は『管制塔』の制御を奪っている。
そのため、主たる通信手段のほとんどをメダ達が掌握している。
また、この施設内の兵士に支給されている無線機が安物だというのが災いした。
メダと一緒に奪った無線機がどれくらいの距離で通じるのか試してみたが・・・
近距離の通信、大体20m以内なら通じるが、それ以上の距離は通信を送れない。
それ以上の通信をどうやってしているかというと、『管制塔』を通しているのだ。
かなり、細く『管制塔』直結の無線LANの様な物がそこかしこに配置されている。
そこを通して『管制塔』へ電波を送り、施設内の至る場所へ通信を送ることが出来ていた。
つまり『管制塔』の制御を奪っている今の状況なら、無線が通じる範囲内の敵を全滅させる、もしくは通信範囲外まで陽動できれば基本的に援軍要請を封じることができた。
その陽動をメダが買って出た。
まあ、どうしても由紀が知り合いを探すんだときかず、自然と優太と由紀が民間人救出をすることになった。


優太
「さて・・・多分あのゲート近くに停めてあるのが連れ去られた民間人を乗せてると思うんだが・・・」

由紀
「ほとんどの護衛兵がそこを固めてるもんね。多分アレだと思うけど・・・どうする?」

優太
「ここまで来たら行くしかないだろ。でも、相手はほぼ全員銃を標準装備してやがる。」

由紀
「あれってアサルトライフルって奴だよね?」

優太
「たしかそうじゃなイカ?」

由紀
「あの人数に狙われたら流石の優太も捌き切れないよね?」

優太
「無理だろうな。別方向からの射撃じゃあ、せいぜい二方向からが限界だと思うな。」

由紀
「でも、このままじゃあ・・・今にも走り出しそうな勢いだよ?」

優太
「・・・しょうがねぇ。一か八か突っ込んでみるか・・・由紀はここに居ろ。」

由紀
「うん・・・。優太、無茶しないでね?」

優太
「無茶でもなんでも・・・やらなきゃならない時はやるんだよ。それが男ってもんだぜ・・・!行ってくる。」

由紀
「うん、いってらっしゃい。」



優太はもう一度敵の様子を確認する。
数は前に三人、後ろに四人、車両を囲むよう適当に立ってるのが六人。
計十三人。不吉な数字だな・・・・と素直に思う。
警戒をしてはいるがまだその警戒の程度は低い。
虚を付けば案外たやすく全員落とせるかもしれない。
右の手で腰の日本刀を抜く。
大きく息を吸い、吐く。
それを二、三度繰り返し・・・
車の陰から一気に駆け出し、突撃する。
敵は不意の足音に全員がこちらを凝視する。
全員手元のアサルトライフルの安全装置を切る。
そしてそのまま先頭に立っていた男の「撃て!!」の掛け声と共に銃撃が始まった。
まだ照準が甘いのか的外れな方向へ飛んでいくことも多く、随分と距離を稼げた。
優太はその手に握る『竜牙』に魔力を練り込む。
それを横一閃に振り切る。
すると目の前の空間に真空の刃が形成され、敵目掛けて突き進む。


優太
『飛燕真空刃』!!!ぶった斬れろぉぉおおおお!!!」



前に出張っていた三人を真空の刃が斬り裂く。
その余波で、その後ろの車の後輪タイヤも斬り裂いた。
この調子で全員落としつつ、車両のタイヤをパンクさせればいい。
既に敵に包囲されそうになっているが、まだその包囲の仕方も甘い。
と言うか包囲したってその銃じゃあ、真ん中のオレを狙えないだろ・・・
だが、優太はあえて包囲が完成するのを待った。
ちょっとした考えがあったからだ。


雑魚A
「はぁはぁ・・・一人か?随分と余裕じゃないか!」

優太
「・・・。」

雑魚B
「おっと、下手なことしようとするなよ?銃の照準は既にお前を捉えてるぜ?」

優太
「やってみろよ。この距離で狙えば外れはしないだろうけど、味方にも当たる可能性だってあるぞ?」

ガザC
「はっ!!?そう言えばそうかもしれん!!」
雑魚A
「バカ!相手の口車に乗るな!!全員で一斉に取り押さえればいい。おい、その武器を捨てろ。」




優太は素直に武器をその場に捨てる。


ガチャン!!


その音を合図に周囲から一気に飛びかかってくる。
しかし優太は悠然と立ち続ける。
次の瞬間には全方位からの圧力で押し倒された。






エリス
「・・・。」

アヤカ
「・・・。」

エリス
「(さっきの言葉にかける言葉が思いつかなかった・・・。この娘、こんなに小さいのに・・・あんなことを言うなんて。)」

アヤカ
「・・・。」

エリス
「(よ、よし。黙っててもしょうがない!ここは年長者として気の利いたアドバイスをしてあげるべきですね!!)アヤカちゃん?」

アヤカ
「ん?な~に?」

エリス
「さっきのだけどね・・・。あんまり深く考えない方がいいと思うよ?」

アヤカ
「??」

エリス
「そ、そりゃあ今はこんな所で暗い人生かも知れないけど・・・その内、きっとどうにかできるときがくるよ。」

アヤカ
「え?」

エリス
「だから『死にたい』みたいなこと言うの止めよう?生きてれば絶対にいつか報われる日が来る。出口のないトンネルなんてないもの・・・。」

アヤカ
「えりす・・・。」

エリス
「なに?」

アヤカ
「さっきのだけどね・・・じつは・・・ばをなごませるために言ったジョークなんだけど、、、何かごかいしてない?」

エリス
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい??????」

アヤカ
「さいきん、けっこうシリアスな展開が続きぎみだから・・・ここらで少しなごませようとしたんだけど・・・」

エリス
「・・・・・・・・・・・・・。」

アヤカ
「えりす?」

エリス
「あ、あのねアヤカちゃん・・・こういう状況でそんな冗談言っても冗談に聞こえないんだよ?」

アヤカ
「おお!!そういうものなんだね!!」

エリス
「う、うん。だからそういうダークなネタは止めようね。」

アヤカ
「うん。ごめんなさーーい。。えへへ、えりすってやさしいね。」

エリス
「え?」

アヤカ
「今までもね、こういう話をしたことがあったんだけど・・・みんな決まってふざけたこと言うな!!とかって怒るの・・・。まだ小さいんだからそう言うこと言う物じゃない!!って・・・」

エリス
「・・・。」

アヤカ
「でも、えりすは違うね。言ってることは同じでも、やさしくさとしてくれるかんじだった・・・。うん、そうだよね。出口のないトンネルなんてないよね!」

エリス
「うん。そうだよ・・・。だから、何があっても挫けず頑張っていこうね。」

アヤカ
「うん。アヤカ頑張る!!」

エリス
「(意外と明るい子なんだな^^)」

アヤカ
「ねぇねぇえりす~~。」

エリス
「なんですか?」

アヤカ
「アヤカと友達になって欲しいの。」

エリス
「友達・・・ですか?」

アヤカ
「うん。私、ずっとこういう生活だったからそういうのが居ないの・・・。だから、えりすが友達になってくれたら・・・さびしく、ないかなって。」

エリス
「・・・・・はい。私で良ければいくらでも・・・。」

アヤカ
「ホント!!?」




ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンン!!!!!


エリス
「!!?」

アヤカ
「な、なんだろ!!」

エリス
「そ、外から?」

アヤカ
「あうーーー、この車全面黒ぬりでまど無いから外が見れないんだよね・・・」

エリス
「い、一体外でなにが?」



ブロオオオオン!!


アヤカ
「きゃっ!!」

エリス
「えっ!!?」



急に体が後ろに引かれる感覚に襲われる。
スグに車が走り出したことが分かった。
しかもかなり乱暴な運転だ。
さっきから揺れが酷い。


アヤカ
「えりす・・・。」

エリス
「アヤカちゃん?」



アヤカはエリスに抱きついてくる。
どうやら急の衝撃や、この揺れが不安感を煽っているらしい。
エリス自身もそれなりに不安になっているのだ。
年端のいかないアヤカならなおさらだろう。
エリスは自然とアヤカを抱くと、その頭を撫でる。


エリス
「大丈夫ですよ。アヤカちゃん、私が付いていますから。」

アヤカ
「うん。」



アヤカもその抱擁を素直に受け入れる。
少し落ち着いてきたのか明るめの声で、


アヤカ
「えへへ、えりすのおっぱいやわらか~~~い。」

エリス
「ちょ、アヤカちゃん!!?」

アヤカ
「グリグリ~~グリグリ~~~。。」

エリス
「も、もう!くすぐったいわよ!アヤカちゃん・・・!」



キキィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!


そんな音が聞こえたと同時に今度は前に体が傾く。
さっきの音がブレーキ音だと気付くのにそう時間はかからなかった。
その勢いでアヤカが前の壁に飛んでいってしまう。
あまりにも急なことでエリスも腕をつい緩めてしまったのだ。
ゴン!!かなり鈍い音がした。


エリス
「アヤカちゃん!!」



エリスはスグにアヤカに寄る。
どうやら気を失っているだけのようだ。
しかしぶつけた所はぷっくりと腫れてしまっている。
エリスはその部分を撫でながら自分の不注意を呪った。


ガラッ!!!


すると急に右側のドアが開く。
そしてそこから伸ばされた手に、腕を取られる。
そしてそのまま車外に出されてしまう。
その先に居たのは見知らぬ男だった。
銃を突き付けられ、身動きが取れなくなって・・・



雑魚A
「こ、コイツがどうなってもいいのか!!?コイツを助けたかったらその車を寄越せ!!!」







ドササッ!!!


雑魚A
「んっ!!?」
雑魚B
「な、なんだ!??どこ行った?」
ガザC
「ちょ、あんま顔動かすなよ雑魚D!!」
雑魚D
「オレ・・・ガザCになら抱かれてもWii・・・。。」
雑魚A
「気色の悪いやり取りしとる場合か!!!」
雑魚B
「ま、マジでどこ行ったんだ!!?この人数で包囲してて抜けられるはずが・・・!!」



優太
「キレイに固まってくれたな。それだけまとまってりゃあ・・・問題無い。」



敵は一斉に後ろを振り返る。
優太は調度車両の前に立っていた。
その手にはさっき捨てたはずの『竜牙』も握られている。


雑魚A
「な!ど、どうやって抜けたんだ!!??」

優太
「さあ・・・種明かししてる暇ないからここは割愛ってことで。」

雑魚B
「お、おいヤヴァイぞ!!早く散れ!!散らないと何かヤヴァそうだ!!!」
ガザC
「だ、だが・・・さっきから体が、動かないんだけど!!!」
雑魚D
「お前はもう、掘られている。」
ガザC
「止めてぇぇぇ!!オレそう言う趣味無いからーーーー!!!」

優太
「調度良い。オレも今アクセルかかったぜ。」



優太は『竜牙』で足元を適当に切り抜く。
下はコンクリートで出来てるようで、ちょっと斬りにくい感じはしたが魔力を多少込めれば難なく切断できた。
適当とは言ってもキレイに縁取りされた立方体を宙に放る。
すると優太の周囲に青白い閃光が瞬く。
パチパチという音が次第に大きくなり、バチバチという音に変わった時、手元にさっきのコンクリ片が落ちて来る。
早すぎて視認するのは不可能だったが、コンクリ片に優太は瞬間的に魔力の膜を張る。


優太
「コイツで終いだ!!喰らえ『超銀河電磁波動砲』(ちょうぎんがレールバスター)!!!!!!!!!!!!!!!!」



ガッ!!!


右拳がコンクリ片を叩く。
優太は目の前に見えないレールを敷く。
コレはコンクリ片を電磁誘導するために敷かれた雷の魔力を込められた特別性のレールだ。
さらに優太は自身の『銀河力』を雷の魔力と混ぜ合わせることによりこのレールをほぼ無尽蔵に伸ばすことができる。
それはつまり、射程はほぼ無限だと言うことである。
しかし、この電磁誘導により生じる空気摩擦は尋常な物では無い。
距離が伸びれば伸びるほどその摩擦は強くなる。
そのためその分、多くの魔力を喰う。
が、今の優太は『銀河力』がフル稼働している。
そのため、魔力の消費はほとんど気にする必要は無い。


ボッ!!!!!!!!!!


コンクリ片が音速の三倍の速度で駆け抜ける。
その軌跡は、赤く一直線に空気を燃やしながら光の柱となって突き進む。


ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンン!!!!!


目の前の密集していた敵を巻き込み、真っ直ぐに突き抜けていく。
その閃光は止まることなく建物を貫通し、中庭で戦っていた一団の一部を吹き飛ばしつつさらに進む。
最終的に施設の周りを囲む壁すら突き破り、外の森林の木々を数十本薙ぎ倒した辺りでその勢いを止めた。


優太
「・・・・・・・・・・あれ?」

由紀
「『あれ?』じゃないわよ!!加減はしようよ!!」

優太
「あ、オレも使うの久しぶりで加減間違っちった。てへペロ!!」

由紀
「あーーーもう・・・。あれじゃあ何人か死んでるかもよ・・・。」

優太
「ああ、それなら大丈夫大丈夫。。威力の方は普通以下に落としてある。生身の人間は吹き飛ばして終わりだよ・・・簡単な魔法障壁が張れる奴なら生きてるんじゃないかなーーー。」

由紀
「・・・ま、いいんだけどもそれなら・・・。」

優太
「あ、そういえばさっきはアイツらの動き止めてくれてサンキューな。いやーー、『次元跳躍』で包囲抜けるまではよかったんだけど・・・そのあとの、部分的な時間停止を使うだけの『次元力』が切れちゃってさ。」

由紀
「優太には『次元力』を最低限しか供給してないからね。どうせ一回で使い切ってスッカラカンだろうと思ってた。」

優太
「ははっ!ナイスコンビネーションってやつだな。。」

由紀
「それより・・・早くみんなを救出した方がいいんじゃ・・・。」

優太
「それなら大丈夫だ。なんかこの車両運転する人が乗ってないみたいなんだ。さっきチラッと確認した。後部座席の方は黒塗りで中が見えなくなってるから確認できてない。すぐにこじ開けて・・・」



ブロオオオオン!!


優太
「え?」

由紀
「あっ!!一台だけ走って行ったよ!!?」

優太
「マジか!!?くそ、まだ誰か残ってたのか!!追うぞ!!」

由紀
「え、でもどうやって!??」

優太
「た、確かに・・・!足で追いつける訳無いし・・・!」



ブロロロロ!!!


優太
「ん?」



目の前に見たことのあるような車両が止まる。
そのドアが開き、こちらに呼びかけてくる。
あれは、


優太
「アラド!?」

アラド
「よう!メダの言ったとうりだったな!!やっぱスレスレで逃げられたみたいだな!!」

優太
「うっせぇ!!ちょっと油断しただけだっつーーの!!」

ゼオラ
「何でもいいから乗って!!今からなら追いつけるわ!!」

優太
「分かった!!」



優太は駆け足で車両に近付き、後部のドアを開けて乗り込む。
すると何故かそこに見知った顔が二人いた。


優太
「はぁっ!??お前ら何してんだよ!!」

由紀
「千草!!、鳳仙!?」

千草
「いやーーー、途中で出くわして話してたらユウ君のこと知ってるみたいだから付いてきた。。」

鳳仙
「ダンナ!今はとりあえず追いかけるのが先じゃないの!?」

優太
「あ、ああ!!それもそうだな!!」

アラド
「よっしゃ飛ばすぜ!!みんなしっかり掴まれ!!」

優太
「あ、あれ?コレはまさかの・・・」



ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!


優太
「やっぱりねぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!!!!!!!」

ゼオラ
「ちょっとアラドあんたふざけてるの!!?」

優太
「おお!ゼオラさん!!アンタ分かってるよ!!もっと言ってやるんだ!!!」

ゼオラ
「こんな甘っちょろいスピードで追いつけると思ってんの!!?もっとスピード出しなさいよ!!!」

優太
「お前もかぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」

アラド
「はっ!!オレと『デスペラード』のコンビを舐めんなよ!!この人数が乗ってたってなぁ!!別段何の問題も無ぇよ!!!飛ばすぜぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!!」

優太
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!もうこんな絶叫マシーンは懲り懲りだあああああああああああああああああ!!!!!」

鳳仙
「火照った体に風が心地いいなぁ千草。」

千草
「ああ、やっぱ風を切って走るのっていいもんだよねぇ。。」

優太
「ちょ、窓開けんな!!寒いだろ!!ビュービュー吹き込んでっから!!」

アラド
「お、目標が見えたぜ!!どうする!!?」

ゼオラ
「早かったわね。やっぱりこんなオフロードじゃあ相手もそうそう容易くスピード出せなかったか。」

アラド
「なんだよとんだチキンが運転してんだな・・・。オレはどんな足場だろうがフルスロットルだぜ!!」

ゼオラ
「あんたはただのスピードバカなだけでしょ・・・。」

アラド
「ま、それは否定しないが・・・。で、マジでどうする?横付けして木にぶつけるか?」

ゼオラ
「それじゃあ中の人も危ないでしょ!!」

アラド
「んーーー・・・じゃあどうするんだよ?遠距離から狙えるような武器持ってねぇぞ。」

ゼオラ
「しょうがないわね・・・私のエンペルドで・・・」

アラド
「それこそ中の人含めてハチの巣になっちまうだろ!!他の方法を考えるに一票!!」

千草
「私が持ってるよ。」

ゼオラ
「千草の持ってるの普通の弓矢じゃない。こんな風をモロに受けた状況で狙えるの!?」

千草
「大丈夫だよ。私はどんな物だろうが撃ち抜く。狙った獲物は逃さないよ。。」

鳳仙
「じゃあ、席変わるか。窓際の方が良いだろ?」

千草
「うん。よし、じゃあ・・・いっちょ腕前披露でも致しますかな!!」









最終話「『暁の地平線』。。」






ガバル
「ふ、ん・・・ちょっとばかり厳しいな。」

女将
「あんたはドカドカ撃ちすぎなんだよバカ・・・お陰でこっちも予備弾倉まで使い切っちまったよ・・・。」

ガバル
「すまん。まさかここまで兵力を集中させられているとは思わなくてな・・・」

女将
「ちぃ・・・!こんなことなら、すみれ辺りに応援要請しとけばよかったかね・・・。」

ガバル
「それは、困る・・・。」

女将
「あぁ!?今更娘に会いたくないってかぃ!??安心しな!アンタの顔なんてアイツら覚えちゃいないよ!!」

ガバル
「それはそれで悲しい物だな・・・!!」

女将
「兎に角・・・この場をどうにかする方が先さね・・・。アンタの方はあとどれくらい残ってる?」

ガバル
「こっちも予備弾倉は使い切った。残ってるのは『戦姫の六翼』くらいだが・・・これもこの人数相手では対応できるか怪しい・・・。」

女将
「仕方ない。観念してすみれに救援を・・・」

?????
「なんじゃ・・・結構盛り上がってるみたいじゃないか・・・。」



その野太い声がこの広い空間に響く。
声の主は吹き飛ばされた門の前に立っている。
歳は既に70を超えているように見える。
しかし体の方はかなり大きく、身に纏った鎧の隙間からも分かるくらい筋肉が隆起している。
その隣からもう一人同じような大男が姿を現す。
その男の方は40そこそこの中年空気を出しているが、隣の男に負けず劣らずのムキムキボディだ。
この二人の存在が一気にこの作品を世紀末に連れて行ってくれそうな空気だ。


女将
「アルにスコールかい。アンタらが出て来るってことは・・・結構デカい山だったのかいコレ。」

スコール
「よぉ、ガバルに巴まで居んのか・・・こりゃあ同窓会が開けるな。」

女将
「は?巴??」

ガバル
「お前の名前だろ・・・」

女将
「あ、そうだったかい?女将って呼び方が定着してて自分の本名忘れてたよ!!あっはっはっは!!」

アルヴィス
「しかし・・・『凄然の風』はこんなに戦闘員を確保できていたんじゃな・・・それが驚きじゃよ。」

スコール
「どうせコイツらも人には言えないような所から連れてきたパターンだろう。全く、テッカの野郎はどこで道を踏み外しやがったのやら・・・。」

アルヴィス
「まあ、そんなことはどうでもよかろう。今は、体を動かしたい気分だしのう。」



アルヴィスは腰に下げていた刀を抜く。
そして、全身を魔力と何かの力で覆う。
アルヴィスの体中を白銀の光が覆い、周囲一帯を照らし、相手の戦意を完全に削ぎ落とした。


アルヴィス
『魔氣・龍帝』(イクシード・ドラグオン)・・・。」

スコール
「え、イキナリ全力投球?」

アルヴィス
「なに、ちょいと若い連中を鍛えてやろうと思ってな。若い連中の育成も老兵の務めじゃろう?」

ガバル
「貴方が老兵って言うのは・・・ちょっと若い連中が可哀想に感じるが・・・」

スコール
「そういうことなら、オレも久々にやるかな?メダの奴が中々目覚めてくれなくてよ・・・伝授するに伝授できないのよ、この『螺旋力』をさ!!」



全身から青い色のエネルギーが噴き出す。
それを右の手に集めると、何故か一対のドリルが形成される。
それを目の前に構えるとスコールは叫ぶ。


スコール
「行くぜ若いの!!オレ達の屍を越えて見せろ!!!必殺!『ギガドリルブレイク』!!!



スコールは右手のドリルを高速回転させ、群衆の中に飛び込む。
そしてポカーーンとしていた雑魚の一団を吹き飛ばしながら、縦横無尽に広場を駆け巡った。


スコール
「どうしたどうした!!若いくせにガッツがたんねぇぞ!!もっとオレを楽しませろよぉおおおおおおおおおおお!!!」

アルヴィス
「ははは・・・まだまだじゃな、スコール・・・。そんなスパルタでは若い連中が付いて来れまい・・・。教育とはこういうものじゃ!!」



アルヴィスは刀に全身に纏った力、『魔氣』を込める。
すると刀が白銀の輝きを纏い、凄まじい波動を周囲にまき散らす。
何故か数メートル先のコンクリートの壁にヒビが入ったり、その先の木々の葉や枝が二つに弾けたり、折れたりしている。
群衆はさっきのスコールの時とは打って変わって危機を感じたのか、急に距離をおこうと全員が後ずさる。
それだけ凄まじいプレッシャーをビシビシと飛ばしているのだ。


アルヴィス
『天覇白龍爪』(てんぱはくりゅうそう)!!!!!!!!!



アルヴィスはその手に持つ刀を横一閃に振る。
すると、何故か空間をまたいで群衆の真ん中を巨大な鉤爪型の真空刃三本が駆け巡る。
地面を数十メートル単位で抉り、巻き込まれた雑魚兵全てを彼方に吹き飛ばした。
その後には誰も残らず、巨大な鉤爪の後だけが残る。
それは見ようによっては巨大な龍がその爪で地面を抉ったかのような軌跡を残していた。
残っていた何人かの雑魚も完全に戦意を無くしたのか一目散に逃げて行った。


アルヴィス
「なんじゃ・・・歯応えないのう・・・。」

スコール
「いやいや、やりすぎやりすぎ。。」

アルヴィス
「これがか?大分手加減したとおもっとるんじゃが。」

女将
「こんな化け物みたいな一撃受けて立ち向かって来れる奴の気がしれないよ・・・。」

ガバル
「コレが『白銀の剣聖』の一撃・・・次元が違うとしか言いようがない。」

アルヴィス
「そんなに褒めるな!!ちょっと調子に乗っちゃうじゃろ!!」

スコール女将ガバル
「「「いや、褒めてない褒めてない」」」







千草
「で、あの車を止めればいい訳?」

優太
「ああ、そうしてくれると助かる。」

アラド
「結構揺れてるけど大丈夫なのか?」

千草
「ああ、これくらい全然問題にもならないよ。見てな・・・千草さんの弓技をさ!!」



千草は車の窓から身を乗り出す。
窓に直接腰を掛けるようにして、体の半分以上を外に出している。
中では鳳仙が足をガッチリホールドしているため、落ちる心配はなさそうだ。
が・・・


千草
「うおっ!!」

優太
「どうした!??」

千草
「いや、ちょっと木の枝とかがあって・・・!!あぶねぇあぶねぇ・・・当たったらシャレになってないからね。」

由紀
「ね、ねぇ・・・ホントに大丈夫?あんまり無理しない方が・・・」

千草
「大丈夫だって!!何かきたら避ければいいんだしさ!!鳳仙!しっかり持っててよ!!」

鳳仙
「任せろ!!既にガッチリホールドだけど、さらにガッチリ支えてやるぜ!!」

千草
「あ、それとユウ君。」

優太
「あ?」

千草
「あんまりこっちをジロジロ見られると・・・スカートの中とか見えちゃうからあんまり見ないでね♪」

優太
「はぁ?お前がスカート穿いてる時は大概下はスパッツじゃん。だったら問題無いだろ・・・てか見る気ねぇし。」

千草
「やだ!!スパッツだって立派な下着なのよ!!それを問題無いからってジロジロ見るなんて・・・ユウ君最低!!」

優太
「そんなどうでもいい門答は後にしろ!!既に内容がパンクしかかってて一行だって無駄にできない事態なんだよ!!今回でまとめないとヤヴァイんだよ!!だから手短に前の車のタイヤ撃ち抜け!!!」

千草
「おっと、あのユウ君がメタネタを使うってことは結構マジで差し迫ってると見た!!分かったよ!ちゃっちゃっと狙うぜ!!ユウ君にスパッツ見せびらかせながら!!」

優太
「だからそういうのいいって言ってんでしょ!!」

由紀
「とか言いつつさっきから千草の方から視線を外さないのはどういう訳なの?」

優太
「え、これはただ・・・ツッコミをいれる都合上自然と姿勢が向こうを向いちゃうだけなんだぜ?」

由紀
「本当?実は何だかんだ言ってスカートの中を覗きたいだけなんじゃないの?」

優太
「なわけあるかよ!!オレ別にスパッツなんかに興味ねぇもん!!」

由紀
「て言うか・・・何で千草がスパッツ穿いてるって知ってたの?」

優太
「え、それは結構頻繁にアイツがネタで見せびらかしてくるから・・・」

由紀
「ふーーーーーーーん・・・それを嬉々としていつも見てるんだ・・・最低。」

優太
「がっ!!?ちょ、待て由紀誤解だ!!これには一応深い訳があってですね・・・!!」

由紀
「ふーーーーーーん、じゃあ後で聞いてあげるよ・・・。」

優太
「な、何か含んだ言い方だけど・・・まあいいか。」

ゼオラ
「アラド・・・アンタもさっきからフロントミラー使って後ろチラチラ見てるけど・・・それはどういう意図があるのかしら?」

アラド
「ゼオラ・・・運転中もな、常に後ろの状況を確認しなくちゃならない訳でな。」

ゼオラ
「後ろの状況って・・・まんまアンタの真後ろが見えるよう角度調整されてるみたいなんだけど・・・普通は車の真後ろ方向が見えるように調整するもんなんじゃないの?」

アラド
「い、嫌だなゼオラさん・・・オレは至って真面目に後ろの状況を確認しているんだぜ?」

ゼオラ
「後ろの千草のスパッツを?」

アラド
「そうなんだけどさ~~!何か上手いこと角度が変更できなくて全然見えね・・・あっ。」

ゼオラ
「アラド。」

アラド
「はい・・・」

ゼオラ
「後で、その面ブッ飛ばすから・・・百回くらい。」

アラド
「多くね!!?別に男としてロマンを追った程度でこの制裁は酷すぎないか!!?」

ゼオラ
「うっさい・・・アラドのバカ。」

千草
「痴話喧嘩も一区切りついた所で撃っていい?」

優太
「いやいや早く撃てよ!!お陰でかなりの行数無駄にしたよ!!お前まさかとは思うけどこれを狙ってたんじゃないだろうな!!?」

千草
「さぁ・・・どうでしょうねぇ。んじゃ、いっちょ狙い撃つぜ!!」

優太
「ここにきてそのネタも無いと思う。」



千草は弦に矢をかける。
そしてゆっくりと、そして力強く後ろに引く。
千草の目は既に目の前を行く車のタイヤを見据えている。
細かく狙いを定めるように、さっきから手を小刻みに上下へ動かしている。


千草
「なんかさ・・・。」

優太
「今度は何だよ。これ以上引き延ばす必要無ぇよ早く撃っちゃえよ適当に狙っても当たるよこの空気。外れる訳ねぇもん。既に一話前でブレーキ踏まれる的な描写あったもん。」

千草
「この、弓を握った手を上下に動かすのって・・・何かエロくね?」

優太
「心底どうでもいい!!!」

由紀
「とか言いつつ頭の中では千草にされてる所を妄想してるんでしょ・・・。」

優太
「してねぇよ!!!何で今日のお前はそんなに絡んでくるの!!」

由紀
「別にーーーー、そんなことも無いと思うけどーーー。。優太って気付くと色んな女の子と仲良くなってるし、今日だってかすみやすみれと仲良くなってるしさ・・・どうせ私なんてその内忘れられちゃうんだ~~。」

優太
「なに言ってんだよ!!忘れる訳無いだろ!!お前はオレの・・・!」

由紀
「オレの?」

鳳仙
「オレの?」

千草
「オレの?」

アラド
「オレの?」

ゼオラ
「オレの?」

優太
「そこは合わせろよーーーーーーーーーーーーーーー!!何で地味にタイミング外してきてるんだよ!!そこは全員一斉に『オレの?』って聞き返す所だろ!!」

千草
「て言うかさ・・・マジ撃っていい?そろそろお尻痛くなってきた・・・て言うか、もしかしてそういうプレイなのユウ君?」

優太
「違ぇよ!!お前が勝手に引き延ばして自分でケツ痛くしただけだよ!!もういいから早く撃っちまえ!!後がつかえてるんだよ!!!」

千草
「ほいほい。じゃあ、いいや・・・やるよーーー。そぉい。。」



何とも間の抜けた声と共に矢が射られる。
その矢は真っ直ぐ突き進み、前の車の後輪タイヤに突き刺さる。
急に物が突き刺さり、前の車はガタガタと揺れ始めていた。
流石にその揺れで速度を維持し続けるのが無理だと判断したのか、ブレーキが踏まれる。
アラドもそれに合わせてブレーキを踏み、車を止める。
そして一斉に車を飛び出し、確保に乗り出そうとしたとき・・・


雑魚A
「う、動くな!!」

アラド
「なっ!!」



相手の方が早く車から降り、後ろのドアを開けて中から一人の少女を引きずり出すとその頭に拳銃を突きつける。
どうやら相当精神的に追い詰められている様で少しでも刺激すれば即撃ちかねない状況だった。


雑魚A
「こ、コイツがどうなってもいいのか!!?コイツを助けたかったらその車を寄越せ!!!」

アラド
「馬鹿な真似はよせ!!それ以上罪を重ねてどうなる!!」

雑魚A
「うるせぇ!!どうせオレは雑魚の一人にすぎない!!オレが居なくなったって・・・他の雑魚Aがだな・・・!!」

優太
「そんなどうでもいい門答は後にしろってさっきから言ってるんだけどな・・・」

由紀
「エリス!!」

エリス
「!?由紀、さん・・・」

由紀
「よかった!無事・・・じゃないけど・・・絶対助けるからね!」

雑魚A
「おい、勝手にしゃべるな!!マジで撃つぞ!!!」

優太
「メンドくせぇな・・・おい由紀、アレがお前が助けたかったって奴か?」

由紀
「え、うん。」

優太
「そっか。じゃあ、あのエリスって娘を助けたらこの話はハッピーエンドだな・・・」



その瞬間、優太の姿が視界から消える。
本当に消えた。
雑魚Aは周囲を見回すもどこにもその姿が見当たらない。
しかしその姿を確認することができた。
できたが・・・その時、雑魚Aは地面に叩きつけられていた。
左の頬を拳で撃ち抜かれ、そのまま地面に有無を言わさず叩きつけられたのだ。
優太は容赦することなく、雑魚Aを思いきり地面に埋め込む。
雑魚Aが叩きつけられた所を中心に地面に亀裂が走る。
優太による渾身の一撃を受けた雑魚Aは完全に意識が飛んでいた。
地面に顔を埋め、体を小刻みに痙攣させている。
どうやら生きてはいるらしい。


優太
「ふぅ・・・流石は雑魚。まさかの一発撃破だったぜ・・・。」

アラド
「い、今のは・・・まさか上級肉体強化術、『速鳥』・・・?」

優太
「はやどり?そういう名前なのか・・・。メダのを何度か見てる内になんとなくやり方が分かったから使ってみたんだけど・・・やってみると簡単だな。」

ゼオラ
「え・・・アレって習得するのに結構時間がかかる技の筈よね?」

アラド
「オレなんて三ヵ月練習してやっと習得したんだけど・・・」

ゼオラ
「アンタは特別物覚えが悪いだけでしょ・・・。でも、いくらなんでも見ただけで習得するって・・・どういうこと?」

鳳仙
「す、スゲェ!!ダンナ今の何!?オレにも教えて!!」

優太
「いいけど・・・とりあえず後でな。大丈夫か?怪我とかしてないよな?」

エリス
「あ、はい。私はなんとも・・・そうだ!!アヤカちゃん!!」



エリスと呼ばれた少女はスグに車の中へ入っていく。
そして一人の少女、見た目から推察するにまだ十歳にも満たなそうな少女を抱えて出てくる。
少女はぐったりとしており、息はしているものの顔色がとても悪い。
というか体全体の色素が薄い。
ただ薄いのではない。
明らかに正常な色では無い。
エリスも日の下にでたことで初めて気付いたのかその少女の外見に息をのむ。
全身骨と筋だけで成り立っているのかと思われるほど痩せ細ったその体、髪はボサボサで体中によく分からない傷跡が一杯ある。
どこからどう見ても正常とは思えない。


エリス
「あ、アヤカちゃん・・・そ、そんな・・・こんなことって!」

由紀
「ま、待ってエリス!ちょっと落ち着いて!!大丈夫!息はしてる、知り合いの娘に見せればどうにかしてくれるかも!!」

アラド
「た、確かにコレは尋常じゃないな・・・!!スグに車に乗せろ!!王都に引き返すぞ!!」

千草
「ん?」



千草はふとエリス達の乗っていた車に目を向ける。
さっきから目に入って来ていたが、この車に付いているマーク、どこかで見た記憶がある。
千草はそれだけ思うとそのマークに触れる。
大きな蜂の頭を模した妙に毒々しいマークを・・・
すると、何故か脳裏をよぎる一つの記憶。
それは自分がまだ小さかった時の記憶だ・・・
あの日・・・


千草
「!!!?思い、だした・・・」

鳳仙
「千草?早くしろよ!!今回ばっかりはふざけてられねぇよ!!!」

千草
「え、あ・・・うん!ごめんごめん!!今行くよ・・・」



一瞬何かを思い出した千草だったが、今はそれ所では無い。
思いだした記憶の断片をとりあえず仕舞い込み、千草は皆の待つ車に乗り込んだ。








その後、優太達はひとまずさっきの施設に戻りメダや奏達と合流する。
優太達が逃げ出した車両を追いかけている間に、メダ達が他の連れ去られた人たちを救出して、今まさに王都に引き返すところだったらしい。
色々と説明を求められたが、今はそれ所では無いと優太は一蹴し、すみれ達の装甲車に乗り換え優太達は王都に引き返した。
旅館で待ちぼうけをくらっていた三人に無事由紀や他の人達を救出したと報告しつつ、優太は蓮にアヤカを託す。
静養していたため、魔力は十二分に回復していたようなのでスグにも治癒を始めてくれた。
アヤカはかなり消耗が激しいようだが、命に別段問題も無く、ちゃんとした物を食べさせれば時間はかかるかもしれないが、普通の体型に戻るだろうと蓮は言っていた。
しかし、依然として目を覚まさないアヤカをエリスは付きっ切りで看病するといい、聞かなかった。
だが、蓮の診断だとエリスも軽い栄養失調気味のためそんな無理をさせるわけにはいかないと止める。
しょうがないのでアヤカとエリスを同じ部屋で寝かせることにした。
こうすればアヤカを診つつ、自分も休めるだろうと唯が提案した。
まあ、それある意味逆効果だろとか思わなくもなかったが優太は黙ってそれを飲み込んだ。
全てが終わる頃には、すっかり日も傾き夕日が地平線に沈もうかと言う時間になっていた。




やっと落ち着きを取り戻し始めたこともあり、優太は改めてメダに呼ばれ旅館の外に連れ出された。
門の外には体格のいい男が二人並んでいた。
片方の少し老け込んでいる方の男が話しかけてくる。


アルヴィス
「お前さんが優太じゃな・・・。」

優太
「誰だよじいさん・・・。人に名前を聞く時は・・・」



途中まで言葉が出かかっていたが、後ろから思いっきり殴られたため言葉が途中で切れてしまう。
振り向くと、もの凄くカンカンな様子のメダがこちらを睨みつけている。


優太
「テメェ何すんだよ!!イテェだろうが!!!」

メダ
「アホかキサマは!!このお方を誰と心得る!!」

優太
「知るかよ!!それを今から聞くんだろうが!!!」

メダ
「だからと言って年配者に対してその口の聞き方はないだろ!」

優太
「それはそうだけど・・・!だからって有無を言わさず殴るなよ!!!」

アルヴィス
「まあよいよい。メダ、お前はちと真面目すぎる。もう少し肩の力を抜いたらどうだ?」

メダ
「はっ!!し、失礼しました!!以後気をつけます!!」

スコール
「いや、だからそれを無くせって言ってるんだぜアルは・・・。」

メダ
「し、しかし団長!礼を逸する真似はできません!」

スコール
「まあ、それがお前の良い所だけどさ・・・。もっと自由に生きろよ。そんなんで疲れねぇのか?」

アルヴィス
「まあ待てお前たち、今はこの優太と言う少年と話したい。そっちはそっちでやってくれんか?」

スコール
「おっとすまねぇ!いつもの癖で説教始めちまった。構わねぇから続けてくれよ。」

アルヴィス
「うむ。では、改めて・・・私はアルヴィス・S・フォークハート、『白銀の剣聖』と呼ばれている。『ギルド』の創設者にして戦団、『海風の憑代』の団長を務めている。」

優太
「へぇーーーー。そう。」

メダ
「リアクション薄すぎだろ!!もっと敬意をこめてリアクションしろ!!!」

優太
「いや、だってイキナリ『ギルド』創設者だの何だの言われても・・・オレ今日『ギルド』に加盟したばっかだし・・・。つか、あまかぜのよりしろってメンドクサイ名前だよな。漢字でどう書くの?て言うか何で戦団名が漢字表記だったりするの?ちょっと世界観おかしくねぇ?」

メダ
「黙れ!!そこら辺はご都合主義と言っておけば・・・!」

アルヴィス
「はっはっは!!!久しぶりにいいタマが入ってきたじゃないか!!わし好みの良い性格しとる。」

優太
「へぇへぇそりゃあどうも。で、何だよオレ腹減ってるんだ。手短に済ませてくんねぇか?」

メダ
「キサマ、まだそんな口を・・・!!」

アルヴィス
「よいよい。これくらい我の強い奴の方がわしは好きじゃ。若い頃を思い出すのう・・・。あの頃はわしもよく思ったことをそのまま言ってはバアさんやら他の女共にぶたれまくったものよ・・・。」

優太
「いや、そういう老け込んでる暇あるなら早く話せって・・・すみれ達がスゲェ料理作ってくれてて早く食いてぇんだよオレは。」

アルヴィス
「そうじゃな、それならわしも招待されとるから知っとる。確かに早く食いたい物じゃ。手短に済ませよう。」

優太
「よし、話が分かるじゃねぇか。で、なんの用だよ。」

アルヴィス
「まあ、今日中に返事をしなくても良いのじゃが・・・一応伝えておく。あの二人をどうする。」

優太
「二人?エリスとアヤカのことか?保護してくれるんじゃないのかよ。」

アルヴィス
「そうしたいのも山々じゃが・・・こっちもそこまで資金的に余裕がある訳では無くてのう・・・。もし、家族や親戚がいるのならそこに帰るまでの支援はしてやれるが・・・悪魔でそれは『居れば』の話じゃ。」

優太
「どういうこった?」

アルヴィス
「単直に言えば・・・あの二人の親や親戚は全て死んでおる。」

優太
「なんだと・・・?」

アルヴィス
「どういう経緯かは分からぬが・・・あの二人だけは血縁者の存在が確認されて居ないのじゃ・・・これでは帰るところが無い。」

優太
「で、それだとどうなるんだ。」

アルヴィス
「さっきも言ったがそこまで資金的に余裕がある訳でも無い。長期的に支援することはほぼ不可能じゃ。悪いとは思うがのう。」

優太
「・・・・・・・。」

アルヴィス
「彼女たちが望むなら、仕事を紹介することくらいはできる。じゃが、住処までは提供できん。結局、彼女たちは路頭に彷徨うことになるかもしれんのう。」

優太
「何が言いたい?」

アルヴィス
「誰かが引き取ってくれれば・・・丸く収まるかもしれんのう。」

優太
「そういう話か。じゃあ、オレが引き取る。」

アルヴィス
「即答じゃな。別に無理強いはしていないぞ?」

優太
「いいんだよ。オレが好きでやるんだ。気にすんな・・・アイツらが自分で立てるようになるまで、オレ達と一緒に暮らせばいい。」

アルヴィス
「うむ、話が早くて拍子抜けするのう。話はもう二つほどあるんじゃが・・・片方は報酬の件、もう片方は戦団名の件じゃ。」

優太
「報酬?」

アルヴィス
「うむ。お前たちは正式に依頼を請けた訳ではない。じゃが、多大な貢献をしてくれた。その敬意を表してわし直々に報酬を授けようと思う。何がよい?金か、それとも・・・」

優太
「じゃあ、家。」

アルヴィス
「家?」

優太
「ああ。だって家があればあの二人が住めるし、オレ達も何の気無しにこっちに来れるようになる。報酬は家。コレで決定!」

アルヴィス
「お前わしの話聞いてたのか?そんなに余裕はないと・・・」

優太
「報酬何が良いって聞かれたから答えたんだ・・・。何が良いって聞く時点でこっちにその報酬の決定権を譲渡したことになるだろ。だったら家くれよ。」

メダ
「おい、優太!!お前いくらなんでもそれは・・・・!!」

アルヴィス
「はっはっはっはっはっは!!!!本当に面白いガキじゃのうお前は!!よかろう・・・わしのポケットマネーで家の一つや二つ建ててやる。」

優太
「あ、できるだけ豪勢な奴ね。軽く十人くらい住める感じの。。」

スコール
「ははははははははははは!!!!!コイツはマジで肝っ玉すわってやがる!!ここまで調子に乗った要求できないぜ普通!!」

アルヴィス
「最後にコレだけ聞こう。お前たちの戦団名が未定のままだと聞く。報酬を払う手続きには戦団名を明記しなくてはならん。今すぐ決めろ。さもなくば家はやらん。」

優太
「戦団名?そんなの適当で良いよ。」

アルヴィス
「じゃあ、『アルヴィスさんの下僕戦団』でどうじゃ?」

優太
「そんな適当なの嫌に決まってるだろ!!分かったよ、真面目に考えるよ・・・そうだな・・・」



優太はふと山の方に目を向ける。
今正に夕日が山に沈んで行く所だった。
キレイな赤だ。
赤・・・優太はその色を戦団名に組み込むことを思いつく。
だが、赤では子供っぽい。
もっとカッコいい言い回しはないものか・・・
赤、アカ、あか・・・
と悩んでいると目の端に三日月が入る。
あか、つき・・・暁?
お、コレカッコいいかも・・・でもこのままだとどっかの忍び集団になっちゃうからせめてなにかつけないと・・・
そう言えば、メダの戦団は『天統べる煌星』、じじいの戦団は『海風の憑代』・・・
天、海・・・ときたら・・・大地、地?
地平線、コレだ!!
即興で厨二臭い戦団名を思いついてしまった自分にちょっとばかし情けなさを感じつつ、優太は胸を張ってその名を口に出す。


優太
「決めたぜ!オレ達の戦団名は、『暁の地平線』(あかつきのちへいせん)だ!!」

メダスコールアルヴィス
「「「うわ、厨二クセェ・・・・・」」」

優太
「うるせぇよ!!テメェらのも十分厨二クセェよ!!オレの何てまだマシだよ!!!!!」

アルヴィス
「ははは、冗談じゃ冗談。そう怒るな・・・誰しも一度は通る道ぞ・・・大丈夫じゃ、気を確かに持てば治る。何時の日か、な!」

優太
「だからウルセェよ!!!厨二厨二ってバカにすっけどな!!そうやってバカにするからうら若き漫画家の卵だったり小説家の卵が途中で挫折すんだよ!!もっと若い感性大切にしろよ!!メディアの存亡かかってんだよ!!」

アルヴィス
「よぉし!うら若き新たな厨二が目覚めた所で宴に参加するとしようかのう!!」

優太
「だからどんだけテメェ引っ張ってんだよ!!もしかしてそんなに家建てんの嫌なの!??だったら直接言えや!!クソジジイ!!!」



四人はワイのワイの言い合いながら旅館の中に入っていく。
こうして、長いようで短かった一日が終わった。
一人の、うら若き厨二の誕生と共に・・・!!


優太
「天の声ウゼェ!!!お前まで人を厨二にしてくれてんじゃねぇよ!!もういいよ分かったよいいですよ厨二で!!オレは痛い子ですよ!!!」







「ギルド立志篇」完。。






あとがき。。




と、言う訳で「ギルド立志篇」を全話くっつけてお送りしました!!
これは「過去物語」第一話にあたる始まりの物語です。
とか言いつつ、本当の始まりはもっと前なのですが・・・
そこら辺の話はこの後に展開する個別パートでお送りしていこうと思いますので気長にお待ちください。。
今回の「ギルド立志篇」の主な目的は主要キャラを出すことですね。
まあ、今回出てきたので全員ではないですけど、あの人達がこの物語の主要人物です
それなりに多いですけど覚えてやってください。
基本的に一番最初ってことなので戦闘単純化ギャグ多めで御送りしたと個人的に思いますが・・・
人によってはギャグが多い方が好みって人も居ますよね。
まあ、ギャグはこれ以降も入りますけど次第にシリアス戦闘多めとかなっていくこともあると思います。
別にオレも無理に戦闘とか書く必要無いかなーーと思ったりしますが・・・
戦闘させとけば勝ち負けハッキリつくし、逆に話も単純になるし・・・オレは良いと思いますね。
問題はオレの説明が分かり辛いことにありますね
オレはこんな感じってのが頭にあるからそれを想像できますが、皆さんは文章から想像せざるを得ません
その想像できるレベルまでオレの文章は洗練されて無いと思います。
これからはなるべく文章だけでも分かるくらいに地の分を洗練していきたいですね。
そんな訳で次回は「千草篇」になります。
ただいま絶賛連載中で、オレも執筆中ですが・・・
正直に言うとあまり筆の乗りが良くない・・・
理由は色々ありますが、それは次回のお話にでもしましょうかね。。
では、また「千草篇」完結後に同じようにまとめを作ろうと思うのでまたその時にでも!!
あ、最後に・・・
書き下ろしを入れると言いましたが・・・時間が無くてそんなの書けなかったです!!ごめんなさい!!!
でも、その内書き足されるかもしれないので、また忘れた頃にもう一度読んで貰えると幸いです。。
んじゃ、また「千草篇」まとめで会いましょうノシシ


ページ数 155(余白上下左右25、文字数×行数42×32、用紙横、縦書き)
文字カウント 67526
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[ 1991/04/01 00:00 ] 小説(完全版) | TB(0) | CM(0)

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