過去語~高校生編③「盗難事件と最後の10」~

冬休みに入っていた。
入ってすぐクリスマスだったが・・・。
別に彼女とかがいるわけでもないオレは家族と一緒にクリスマスを過ごしていた。
冬休みにも宿題はあったが、夏休みと同じ要領で毎日コツコツやって終わらせた。
年末に大掃除をして、ホコリ吸って鼻水が止まらないのは毎年の事で・・・。
あとはずっとげ~むをしたりして、自堕落に日々を過ごした。
すると気づけば「大晦日」
年越しソバを食べて、年明けまでげ~むしながら起きていて・・・。
0時になったら即寝た。
朝、初日の出を家の窓から拝み、朝食に雑煮を、夜におせちを・・・。
そして二日の日には「初詣」、そのまま母方の実家へ。
そこでお年玉を貰い、親戚の子達とトランプやUNO(何処でも遊べて本当に便利。)で遊ぶ。
三日からは冬休み終了までまた自堕落生活。。
あーーー、もう明日から学校かーーー。
と思いつつ、そんな風に過ぎ去った日々も確かに楽しんでいた自分がいた。


休みが明け、もうすぐ進級という空気が教室中を包んでいた。
オレももうすぐ二年になるのか~~と考えていると・・・。
「オレ(私)進級できないかも~~。」
と言ってる奴も居たりしました。
ああ、進級と同時にまた数人とお別れかな~~と切実に思うオレだった。
しかし、進級の事とか考える事が多かったためかオレはこの時忘れてしまっていた。
とある事件の事を・・・。
そして、その事件の影が自分に近づいて来ている事も気づく由もなかった・・・。


とある体育の時間・・・。
オレ達は貴重品を一つにまとめて、オレの下駄箱に入れるというのがつねだった。
下駄箱に鍵はついていない。
みんな自前の南京錠を買って取り付けなければ下駄箱のプライベート(上履きと下足履きしか入ってないけど)は守れないのだ。
友人たちは数いれど、オレだけがそのアイテム「南京錠」を持っていたのだ。
そのためオレが代表で貴重品を預かり、オレの下駄箱に入れておく。
コレがこの頃当たり前のことだった。
いつもどうりにみんなの財布携帯、はたまたげ~む機まで・・・それを自前の袋にまとめて下駄箱に放り込み、南京錠を閉めた。
はずだった・・・。
体育が終わり帰ってみると、何か初めに入れた時と袋の位置や膨らみ具合が違う気がした。
そして、スグにそれは核心へと変わる。
袋を開けてみると、明らかに中身が少ないのだ。
一部の物品が無くなっている・・・。
見間違いであって欲しかった。
でも、確認すれば確認しただけ現実はオレを手痛くオレの心を打った。


結果的に言うと、コレは巷で横行していた「盗難事件」って奴だった。
盗られたのは数人の財布、そしてオレを含めた数人のげ~む機
オレの財布は無事だった。げ~む機(PSP)が盗まれた。
スグに先生に報告した。
けど、今までもそうだったらしいがこの盗難事件はいづれも解決していない。
何故か・・・。
学校側は話を大きくしたくないのだ。
主な理由としては、保護者への対応だとか・・・そんなとこら辺だと思う。
それに警察沙汰にまでしたくなかったのかもしれない。
その前に警察は学校内へはそうそう干渉できないようなのだが・・・。
まあ、そこら辺の細かい事情は正直な所良く分からないってのが正しい。
色々な事情もあり、「盗難」現行犯でないと捕まえる事は出来ないと言われた。
しかし、流石に妙な話だと思った。
盗難事件自体は入学当初の頃からちらほら話を聞いていた。
それが最近になって被害が拡大し始めていた。
なのに先生達の対応は・・・
「また盗難があったようなのでみな注意するように。」
という諸注意のみ。
いくら何でもこの対応はオカシイと思った。
だってそうだろ。
確かに学校に不必要な物を持ってきていたオレ達にも落ち度はある。
げ~む機何て物はその典型。
学校生活には不要な物なのだ。
だがしかし・・・財布はどうか?
学校に自販機があるってことはお金の持ち込み、つまりは財布の持ち込みは認めているわけだ。
もちろん大金を持ち込んで良いという話ではないが・・・。
にしたって被害にあった人の大半は財布をまるごと盗られたり、お札を抜かれたり、はたまた集金をまとめていた封筒を盗まれたり・・・。
もう、注意で終わらせられるレベルの額を超えてしまっている気がした。
別に学校に金を返せと言ってるわけではない。
もう少しまともな対応をして欲しかった。
コレだと盗られた人達だけが損をしている
悪人がのさぼるばかりだとさえ思える。
しかし、自分に何ができるわけでもない・・・。
オレはただ自体は茫然と眺めることしかできなかった。
ただ、現実から目を逸らすことしかできなかったのだ・・・。


それから二、三日たったある日の放課後。
オレが帰ろうと思って席を立った瞬間だった。
杉山に声をかけられた。
どうやら話があるらしかった。
オレは特に用もなかったので、杉山に付き合うことにした。
話の内容は例の盗難事件の件だった。
杉山はその犯人を知っているというのだ。
オレは初め何の冗談かと思った。
だが、杉山の話を聞くうちにどうも冗談ではない事が分かった。
犯人は同じクラスの奴らだった。
名前は正直覚えてない。
むしろ忘れた。
あの糞野郎共と同じ学校で生活していたと思われたくなくってな。
そいつらはその盗難があった日の体育の時間に遅れてきていた
これだけではまだどうこう言えなかったが・・・。
別の盗難があった日。
杉山はたまたまトイレに行っていて授業に遅れそうになってたらしい。
その時、まさにその盗難の現場を目撃したようなのだ。
盗難にあったクラスの前後のドアの前に何かを見張るように人が立っていた。
そしてその中から財布を持った奴らが出てくる所も見たらしい。
これなら状況証拠として十分なんじゃないか?
オレは先生にこの事を報告したのかを聞いた。
が、こんな状況証拠のみでは証拠と認めてもらえず、あくまで「現行犯」ではないと駄目らしい。
ココまで来て学校側が何の役にも立たない事のみが分かった
結局の所、自分達でどうにかするしかなかった・・・。
向こうが「現行犯」を求めるなら、「現場」を自分達で押さえるしかないと・・・。


そして話は急展開。
次の日に機は訪れた・・・。
奴らが授業に出ていなかったので、杉山がトイレに行くフリをして外を見に行くと案の定・・・。
体育で外に行ってるであろうクラスの前に奴らが!
しかし、オレ達は選択ミスを犯してしまう。
致命的とさえ言えるミス。
そして、のちの惨事を生むことになってしまった。
そいつ等が授業に遅刻してやってきたと同時に、数人の友人が食って掛かった
授業中にも関わらず、口論を繰り広げた。
しかし、その場では何ひとつ解決しなかった
相手がシラを切りとおし先生もオレ達の状況証拠を信じず奴らの身体チェックをしなかった
もう完全に何もかもがオカシイとさえ思った。
その場をつい数分前に見ていたんだぞ?
それでもまだ「現行犯」にこだわるって言うのはどういう話だ・・・?
あの先生(バカ)達は何がしたいんだか分からない。
この場で正しい選択は口論することではなく、先生(バカ)に現場を見せることだったようだ。
しかし、時すでに遅し。
唯一の機を完全に逃してしまったのだ。
そして、ココで解決しなかった埋め合わせはコレ以降たっぷりと思い知ることになるのだった。



学年末のテストが近付くと共に色々とレポートの提出日も近付いていた。
が、何故か知らんがついさっき机に入れたはずのオレのファイルがなくなっていた
最初は誰かに貸したんだったか?と思い出してみるも、どう考えてもそんな記憶はない
そして胸の中に芽生えた一つのある疑惑・・・。


「もしかして、盗まれた?」


そう考えると辻褄があった。
無くした(?)ファイルは提出期限が近いあるレポートを作るために必須の物で、さらにもっとも難易度の高いテストの科目ファイルでもある
科目名は「農業科学基礎」というのだが、この科目のみ二人の先生がまるで違う内容の講義を行い、テストもそれぞれが用意するようになっていた。
中村先生という若い先生が作るテストはちゃんと勉強すれば点がとれる普通のテストなのだが・・・。
農場長の先生が作るテストはもう何がなんだか分からない。
授業内容すら正直何を言ってるんだ・・・みたいな感じなのに、テストなんて到底解けやしない。
毎回毎回この農場長のテストは苦戦していた。
それをファイル無し。つまりテスト内容すら分からない状況でどうやってテスト対策をすればいいんだ・・・。
その時は真剣に悩んだ。
その前に何故盗まれたと思うのか語らなければならないが・・・。
コレにはれっきとした裏づけもある。
決して推測ではない。
オレはテストの前以外は絶対に机の中に入っている教科書、ファイル、ノートは持ち帰ったりしない
毎日のように持ち帰りをしていたら、重くてしょうがないからである。
そして貸したというのもオレが覚えていないのなら貸してはいない。絶対に。
誰かに貸したなら普通は覚えているしな。
それに無くしたのもない。
さっきがその授業で、トイレに行く前にファイルを机にしまったのを覚えているからだ。
つまりはもう答えは一つ。


誰かに盗まれたんだ。


さらに付け加えるなら、友人の誰かが勝手に借りていったケースは無い
それならオレに一言必ずあるはずだし、結果的にこのファイルはオレの手に戻ってこなかったからな。
もう、盗まれた以外は考えられない状況だった。


休み明けがテストだった。
そして初日からその科目のテストがあり、さらにはレポートの提出日でもある
二重の意味で切羽詰っていた
ファイル一つ無いだけでテスト勉強はおろか、レポート作成すらできない状況なのだから・・・。
このままだと確実に学期末で一つ赤点が出る
赤点が一つでもあったら進級はできない
まあ、追試に賭けるという手もあるが・・・。
流石にソレは勘弁こうむりたい事だった。
しかし、どうしようもない。
教科書の無い科目だったため、ファイル一つで教科書とノート二つの役割をこなしていたのだ。
ソレが無いんじゃ手も足も・・・。
その瞬間ある閃き・・・。
この科目は二人の先生が違う物を教えてくれている
二つで一つの科目
そして以前のテスト
二つのテストの合計点で成績を出すと言っていた。
つまり・・・。
片方が最悪でも、もう片方で良い点をとれば別に問題が無い?
しかも片方のテスト内容はレポートでまとめる部分を中心に出すと言っていた。
って、ことは・・・。


レポートをどうにかしてまとめることができればどうにかなる!!


それからはもうスグに答えを導き出した。
携帯を開き、友人にレポートでまとめる範囲内のプリントを写メで送ってもらえないかとメールする
一人一人持ってるページはバラバラだったが、どうにかその範囲内のプリントを集めることに成功した
コピーができれば早かったが・・・オレの友人はみな遠い所に住んでるので、会いに行くだけで半日は飛ぶのでそんな事してる暇は無かった。
どうにか集め切ったプリントの写メを眺めながら必死にレポートを作成した
もう付け焼刃でも頼るしかなかった。
いまの自分にできる精一杯の事をやるだけだった。
他の教科ソッチのけでレポートの作成に全力を注いだ。
このまま終わるにはあまりにも悔しすぎた
たかがファイル一つでオレを止められると思うな。
教えてやる、オレが一体どこの誰なのかを・・・。
何の努力もせず他人の物を奪い、潤っている奴らがいる。
それが間違いだと分かっているくせに止めようともしない学校がある。
もう、そんな学校には頼らない。
そしてそんなバカ野郎どもにだって負けやしない。

だってオレは今一つのレポートを完成させつつある。
解くのは不可能かと思ったパズルを解き明かし、そして最後まであきらめずに走り抜いた。
けど・・・
オレはただ・・・楽しく日々を過ごしたかっただけだった。
友人達と当たり障りの無い話をして普通に授業をうけて家に帰ってげ~むして・・・
ただ普通に高校生活を送りたいだけだったのに・・・。
何で最後の最後でこんなつまんないことになっちまったのかな・・・。
ソレだけを考えながら、オレはペンを置いた・・・。


期末テストは一つを除いて全部どうにかなった。
できなかったのは無くなったファイルの科目の片方。
かなり悲惨な点数だった。
まあ、みんな似たような点数だったけど・・・。
当たり前だな。オレはまともに勉強できてないし・・・。
って、言い訳にしかならないな。やめよう。
ふと、盗難をしてるであろう奴らの一人がこう言ってきた。
「何だよその点数!!低っ!!!オレの方が全然高いし、頭良いってことじゃね?」
と、バカみたく叫んでる奴がいた。
「どうせ、カンニングだろ?」
オレはそれだけ言うと席についた。
「ああ、そうだけど。何か悪いん?」
オレはあくまでシカトし続けた。
いや、だってアレじゃバカ丸出しだろ?
そんなのと付き合ってたら同じバカだと思われる。
それは流石に心外なのでオレは大人の対応をさせてもらった。
まず、何をしても点がとれれば良いって考えはどうかと思うな。
それ以前にこの開き直り方は無いだろ。
反省の欠片も無いからな。
カンニングしてまで点をとりたいなんてオレは思わない。
カンニングするくらいなら、オレはそのテスト0点でも良いとさえ思う。
例え表面上、あのバカの方が点数が高いとしても・・・。
中を開ければ、結果など言わずと知れるというものだとさえ思う。



オレが待っているのはこの科目のもう一方のテスト
レポートと一緒に返却するって事だったので、返却は最後の方になった。
そしてついに返却が始まる。
中村先生は一人一人に軽くコメントを残しながら返却していたので大分時間がかかった
そして、返されるたびに聞こえてくるのは変なわめき声ばかりだった。
みな、そんなに酷かったんだろうか。
急に自分のレポート&テストが心配になり始めた
いや、この時は本当に返されるたびにみんながわめいてたもんだからさ!!
だって毎回のようにオレとテストの成績を張り合ってる佐々木の奴もあまりいい感じじゃなさそうだったんだもん!!
誰でも自信無くすって!
そして、やっとオレの番
オレは自分を信じたかった。
いや、大丈夫。あれだけやったんだ、絶対に大丈夫。
と何度も心の中で反芻し続けた。
だって、アレだけ必死にやって結果が出なければオレはまた元のオレに戻ってしまうんじゃないかとさえ思った。
ココで何も結果を残せなければオレは何にも抗えなかった、そして何も変えられなかったことになる。
オレのちっぽけななけなしの努力も意味を成さなくなってしまう。
それだけは・・・・・それだけは・・・!
あってたまるか!!!


「凄いぞ!福島!お前だけだ、ココまで感想を書き込んでいたのは。」
感想??
ああ、最後のページに書いたアレか。
確か見開き一ページ分くらいは書いたっけな、と思い出していると・・・。
「内容の方も良くまとまっているし、キレイに仕上がってる。文句無しの10(最高点)だ!!」
え?今何と仰られましたか?この先生様は・・・。
「テストの方もクラス一番だったし、本当に良く頑張ったな!」


・・・・・・・。


こ、この展開は?
オレが一番?
もしかして、オレは・・・。
貫けたのか・・・認められたのか・・・オレの努力は・・・!!


まさに0から100を生み出すとはこの事じゃないかと思えるくらいだった。
凄い逆転劇だったとさえ思う。
もう一方のテストでは悲惨極まりない点数をとってしまっていたが本命のテストではクラス一番
そしてレポートも10(最高点)・・・。
しかし感傷に浸っていると、盗難グループの連中がコッチを見ていた。
そして、こう言った。
ファイル無しでレポートは大丈夫かよ?さっきのテストは酷かったもんな。どうせ、そっちも同じようなもんだったろ?追試頑張れよ!!!」
一斉にそのグループが笑った。
まるで、オレがファイルを持ってないことを知ってるみたいな言い回しだったな・・・。
オレは誰にもファイルを無くしたなんて言ってない気がしたが・・・。
そうか、フラグ回収か。
でも、そんなのどうでもいい。
バカにされたまま終わるのはオレとしても嫌なんでな。
オレはそのグループの居た机に自分のレポートとテストを叩きつけた。
全員に見えるように・・・。
「なめんじゃねぇ・・・。オレを誰だと思ってるんだよ?」
そいつらは平然としてたけど、オレは別にどうするでもなくその場を去って友人達に混ざった。
そしてレポートやテストの結果を見て泡食ったのはみんなの方で・・・。
何故か首を絞められた。
レポートの範囲を教えてくれた礼をするつもりだったが・・・。
やっぱやめとくことにした。


結局の所、学年末テストは総合的に良好な結果を残した
一年最後の成績はクラス一位。
一位は嬉しかったが、それよりもオレは来年度の生活を考えていた。
二年生になるとクラス替え、もとい専攻クラス分けされる。
詳しい説明は次回にするが、つまり来年からは違うクラスになる奴もたくさん居る訳だ。
そして、知らない奴らもたくさん入ってくることになるだろう。
オレはそんな期待不安を胸に抱きながら春休みに入っていった・・・。




過去語~高校生編④「新しいクラスと仲間達」~へ続く。。
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[ 2005/12/24 00:00 ] 小説(完全版) | TB(0) | CM(0)